商標法



第一章 総則
第 1 条 
商標権、証明標章権、団体標章権、団体商標権及び消費者の利益を保障し、市場の公平な競争を維持して、商工業の健全な発展を促進するため、本法を制定する。
 
第 2 条 
商標権、証明標章権、団体標章権又は団体商標権を取得しようとする者は、本法の規定により登録を出願しなければならない。
 
第 3 条本法の主務官庁は経済部である。
商標業務は経済部が指定する主務官庁が執り行うものとする。
 
第 4 条 
外国人の所属する国が、台湾とともに商標保護に関する国際条約に参加していない、又は台湾と商標に関する相互保護条約や協定を締結していない、又は台湾国民による商標登録の出願を受理しない場合は、該外国人の商標登録の出願を不受理とすることができる。
 
第 5 条 
商標の使用とは、販売を目的として、しかも次に掲げる各号のいずれかに該当
し、関連する消費者にそれが商標であると認識させることができることをいう。
  1. 商標を商品又はその包装容器に用いる。
  2. 前号の商品を所持、展示、販売、輸出又は輸入する。
  3. 提供する役務と関連する物品に商標を用いる。
  4. 商標を商品又は役務と関連する商業文書又は広告に用いる。
前項各号の情況は、デジタルマルチメディア、電子メディア、インターネット又はその他媒介物の方式で行う場合も同様である。
 
第 6 条 
商標登録の出願及びその関連事務は、商標代理人に委任してこれを行わせることができる。但し、台湾国内に住所又は営業所を有していない者は、商標代理人に委任してこれを行わせなければならない。
商標代理人は国内に住所を有していなければならない。
 
第 7 条 
2 人以上の者が 1 つの商標を共有しようとする場合は、全員の名義を以って出願を提出し、そのうちの 1 名を代表者に選定し、代表者は共有者全員のために、各出願手続を行い、関連書類を受け取ることができる。
前項の代表者を選定していない場合は、商標主務官庁が願書に記載されている第一番目の出願人を送達受取人とする。その送達受取人は送達事項を、商標を共有するその他の出願人に通知しなければならない。
 
第 8 条 
商標の出願及びその他の手続において、本法に別段の規定がある場合を除き、法定期間に遅れた場合、又は法定手続に合致せず補正できない場合、又は法定手続に合致せず、期間を指定して補正するよう通知したが補正期限を過ぎても補正しない場合、受理しないこととする。但し、指定期間に遅れても、処分前に補正した場合は受理しなければならない。
出願人が災害又は自己の責任に帰すことができない事由により法定期間に遅れた場合、その原因が消滅した後 30 日以内に書面で理由を説明し、商標主務官庁に原状回復を申請することができる。但し、法定期間に遅れてすでに 1 年が経過しているものは、原状回復を申請することができない。
原状回復の申請は、それと同時に期間内にしかるべき手続を補完しなければならない。
前二項の規定は、第 32 条第 3 項に規定する期間に遅れた場合、適用しない。
 
第 9 条 
商標に関する出願及びその他の手続は、書類又は物件が商標主務官庁に送達された日を基準としなければならない。郵送の場合は、郵送地の消印の日付を基準とする。郵送地の消印の日付が明瞭でないものは、当事者が証拠を挙げる場合を除き、商標主務官庁に送達された日を基準とする。
 
第 10 条 
処分書又はその他の書類を送達することができない場合は、商標公報でこれを公告し、公報に掲載後 30 日が経過すると、送達したものとみなす。
 
第 11 条 
商標主務官庁は、公報を発行し、登録商標及びその関連事項を掲載しなければならない。
前項の公報は電子方式で為すことができ、その実施日は商標主務官庁が定める。
 
第 12 条 
商標主務官庁は商標登録簿を備え、商標登録、商標権の変更及び法令に定める一切の事項を掲載しなければならず、且つ、これを外部に公開しなければならない。
前項の商標登録簿は、電子方式でこれを為すことができる。
 
第 13 条 
商標に関する出願及びその他の手続は、電子方式でこれを為すことができる。
その実施方法は主務官庁が定める。
 
第 14 条 
商標主務官庁は、商標登録の出願、異議申立て、無効審判及び撤回請求案件に係る審査について、審査官を指定して、これを審査させなければならない。
前項の審査官の資格は、法律に基づいて定める。
 
第 15 条 
商標主務官庁は、前条第 1 項の案件に係る審査について、理由を記載した処分書を作成し、出願人に送達しなければならない。
前項の処分書には審査官が署名しなければならない。
 
第 16 条 
期間に関する計算は、第 33 条 1 項、第 75 条第 4 項及び第 103 条の規定を除き、その最初の日を計算に入れない。

第 17 条 
本章の商標に関する規定は、証明標章、団体標章、団体商標に対して準用する。
 
第二章 商標
第一節 登録出願
 第 18 条 
商標とは、識別性を具えた標識で、文字や図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音など、又はその結合によって構成するものをいう。
前項でいう識別性とは、商品又は役務の関連消費者に、指示する商品又は役務の供給元を認識させ、他人の商品又は役務と区別できるものをいう。
 
第 19 条 
商標登録の出願には、出願人、商標図案及び使用を指定する商品又は役務を明記した願書を備えて、商標主務官庁にこれを出願しなければならない。
商標登録の出願は、前項の願書を提出した日を出願日とする。
商標図案は、はっきり、明確、完全、客観的、持久性及び分かりやすい方式で呈示しなければならない。
商標登録の出願は、一出願案一商標の方式を以って出願することとする。又、
2 以上に区分した商品又は役務への使用を指定することができる。
前項の商品又は役務の分類は、本法施行細則でこれを定める。
類似する商品又は役務の認定は、前項の商品又は役務の区分の制限を受けない。
 
第 20 条 
台湾と相互に優先権を承認している国又は世界貿易機関の加盟国において、合法的に商標を登録出願し、その出願人が最初の出願日から 6 ヶ月以内に、台湾で同一の商品又は役務の一部又は全部について、同じ商標を以って登録出願する場合は、優先権を主張することができる。
外国の出願人が世界貿易機関の加盟国の国民でなく、且つその所属する国と台湾が相互に優先権を承認していない場合でも、互恵国又は世界貿易機関の加盟国領域内に住所又は営業所を設けていれば、前項の規定により優先権を主張することができる。
第 1 項の規定に基づき優先権を主張する者は、登録出願と同時に優先権を主張する旨の声明書を提出し、且つ、願書に次に挙げる事項を記載しなければならない。
  1. 最初に出願した際の出願日。
  2. 該出願を受理した国又は世界貿易機関の加盟国。
  3. 最初に出願した際の出願案件番号。
出願人は、出願日から 3 ヶ月以内に、前項の国又は世界貿易機関の加盟国が受理を証明した出願書類を提出しなければならない。
第 3 項第 1 号、第 2 号又は前項の規定に基づく手続を行わない場合は、優先権を主張しないとみなす。
優先権を主張する場合、その出願日は優先権日を基準とする。
複数の優先権を主張する場合、その商品又は役務が主張する、それぞれの優先権日を出願日とする。
 
第 21 条 
台湾政府が開催する、又は認可する国際的な博覧会に出展した商品又は役務に使用した商標の登録出願については、該商品又は役務を出展した日から 6 ヶ月以内に出願する場合、その出願日は出展日を基準とする。
前条の規定は、前項の博覧会による優先権を主張する場合に準用する。
 
第 22 条 
2 人以上の者が同日に同一又は類似の商標を以って、同一又は類似の商品又は役務についてそれぞれ個別に登録を出願した結果、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあり、又、出願時間の後先を判断することができない場合、各出願人の協議によりこれを定める。協議が成立しない場合は、抽選によりこれを定める。
 
第 23 条 
商標図案及びその使用を指定する商品又は役務は、出願後、変更することができない。但し、使用を指定する商品又は役務を縮減する、若しくは商標図案についての実質的な変更でない場合は、この限りでない。
 
第 24 条 
出願人の名称、住所、代理人又はその他の登録出願事項が変更となる場合は、商標主務官庁に変更を申請しなければならない。
 
第 25 条 
商標登録の出願事項に次に挙げる誤りがあるときには、申請により又は職権で訂正することができる。
  1. 出願人の名称又は住所の誤り。
  2. 文字、用語又は清書の誤り。
  3. その他明らかな誤り。
前項の訂正申請は、商標の同一性に影響を及ぼしてはならず、又、使用を指定する商品又は役務の範囲を拡大してはならない。
 
第 26 条   
出願人は使用を指定した商品又は役務について、商標主務官庁に対し、2 以上の登録出願への分割を請求し、原登録出願日を出願日とすることができる。
 
第 27 条 
商標登録の出願により生じた権利は、他人に移転することができる。
 
第 28 条 
共有商標の出願権又は共有者の持分の移転は、共有者全員の同意を得なければならない。但し、相続、強制執行、裁判所の判決又はその他法律規定によって移転する場合はこの限りではない。
共有商標の出願権の放棄は、共有者全員の同意を得なければならない。但し、各共有者がその持分を放棄する場合については、この限りではない。
前項の共有者がその持分を放棄する場合、その持分はその他の共有者がその持分の比率に応じて分配する。
前項の規定は、共有者が死亡して相続人がいない、又は消滅後に引受人がいない場合、これを準用する。
共有商標の出願権が使用を指定する商品又は役務の縮減又は分割は、共有者全員の同意を得なければならない。
 
第二節 審査及び許可
第 29 条 
次に掲げる、識別性を具えていない情況のいずれかに該当する商標は、登録することができない。
  1. 指定した商品又は役務の品質、用途、原料、産地又は関連する特性 を描写する説明のみで構成されたもの。
  2. 指定した商品又は役務の慣用標章又は名称のみで構成されたもの。
  3. その他、識別性を具えていない標識のみで構成されたもの。
前項第 1 号又は第 3 号が規定する情況は、出願人が使用しており、しかも取引上すでに出願人の商品又は役務を識別する標識となっている場合に、これを適用しない。
商標図案に識別性を具えていない部分が含まれており、且つ、商標権の範囲に疑義が生じるおそれがある場合、出願人は該部分を専用としない旨を声明しなければならない。専用としない旨を声明していない場合は登録することができない。
 
第 30 条 
次に掲げる各号のいずれかに該当する商標は、登録することができない。
  1. 商品又は役務の機能を発揮するためにのみ必要なもの。
  2. 台湾の国旗、国の紋章、国璽、軍旗、軍の徽章、印章、勲章又は外国の国旗、又は世界貿易機関の加盟国がパリ条約第 6 条の 3 第 3 号によって通知した外国の紋章、国璽又は国の徽章と同一又は類似のもの。
  3. 国父(孫文)又は国家元首の肖像又は氏名と同一のもの。
  4. 台湾の政府機関又はその主催する博覧会の標章、又はそれが授与する表彰状等と同一または類似のもの。
  5. 国際的な政府組織又は国内外の著名で、且つ公益的性質を具えた組織の徽章、旗、その他の記章、略語、名称と同一又は類似のもので、公衆が誤認、誤信するおそれがあるもの。
  6. 国内外で品質管理又は査証を表すのに用いる国の標識、マークと同一又は類似のもので、且つ同一又は類似の商品又は役務に使用すると指定しているもの。
  7. 公序良俗を害するもの。
  8. 公衆にその商品又は役務の性質、品質又は産地を誤認、誤信させるおそれがあるもの。
  9. 台湾又は外国のワイン又はリカーの産地表示と同一又は類似のもので、且つワイン又はリカーと同一又は類似の商品に使用を指定しており、該外国と台湾が協定を締結している、又は国際条約にともに参加している、又はワイン又はリカーの産地表示の保護を相互に承認しているもの。
  10. 同一又は類似の商品又は役務について、他人が使用している登録商標、又は他人が先に出願した商標と同一又は類似のもので、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあるもの。但し、該登録商標又は先に出願した商標の所有者が出願に同意し、且つ、明らかに不当でないものは、この限りでない。
  11. 他人の著名な商標又は標章と同一又は類似のもので、関連する公衆に混同誤認を生じさせるおそれがあるもの、又は著名な商標又は標章の識別性又は信用を損なうおそれがあるもの。但し、該商標又は標章の所有者の同意を得て登録出願した場合は、この限りでない。
  12. 同一又は類似の商品又は役務について、他人が先に使用している商標と同一又は類似のもので、出願人が該他人との間に契約、地縁、業務上の取引又はその他の関係を有することにより、他人の商標の存在を知っており、意図して模倣し、登録を出願した場合。但し、その同意を得て登録出願した場合は、この限りでない。
  13. 他人の肖像又は著名な氏名、芸名、ペンネーム、屋号があるもの。但し、その同意を得て登録出願した場合は、その限りでない。
  14. 著名な法人、商号又はその他の団体の名称があり、関連する公衆に混同誤認を生じさせるおそれのあるもの。但し、その同意を得て登録出願した場合は、その限りでない。
  15. 商標が他人の著作権、特許権又はその他の権利を侵害し、判決によりそれが確定したもの。但し、その同意を得て登録出願した場合は、その限りでない。
前項第 9 号及び第 11 号から第 14 号までに規定する産地表示、著名及び先に使用していることを認定する際は、出願時を基準とする。
第 1 項第 4 号、第 5 号及び第 9 号の規定は、政府機関又は関連機関が出願人の場合は、これを適用しない。
前条第 3 項の規定は、第 1 項第 1 号が規定する情況にこれを準用する。
 
第 31 条 
 商標登録出願を審査した結果、第 29 条第 1 項、第 3 項、前条第 1 項、第 4 項又は第 65 条第 3 項に規定する情況に該当し、登録することができないと認めた場合は、拒絶査定をしなければならない。
前項の拒絶査定の前に、拒絶査定理由を出願人に書面で通知し、期限を定めて意見を陳述させなければならない。
 使用を指定する商品又は役務の縮減、商標図案の実質的変更でないもの、登録出願案の分割及び専用としない旨の声明は、拒絶査定前に行わなければならない。
 
第 32 条 
商標登録出願について審査の結果、前条第 1 項に規定する情況がない場合には、許可査定を下さなければならない。
許可査定を受けた商標については、出願人は査定書が送達された日から 2 ヶ月以内に、登録料を納付しなければならず、納付後はじめて登録公告され、且つ商標登録証が交付される。期間が満了しても登録料を納付しない場合、登録を公告しない。
出願人が故意ではなく、前項に定められた期限までに登録料を納付していない場合は、納付期間が終了後 6 ヶ月以内に 2 倍の登録料を納付すると、商標主務官庁がこれを公告する。但し、第三者がこの期間に行った登録出願又は商標権の取得に影響する場合は、これを行うことはできない。
 
第三節 商標権
 
第 33 条 
商標は登録公告の日から登録者が商標権を取得し、商標権の存続期間は 10 年とする。
商標権の存続期間は更新登録することができ、一回ごとの更新期間は 10 年とする。
 
第 34 条 
商標権の更新は商標権の存続期間満了前の 6 カ月以内に申請を提出し、更新登録料を納付しなければならない。商標権存続期間終了後 6 ヶ月以内に申請を提出する場合は、2 倍の更新登録料を納付しなければならない。
前項の延長許可を受けた期間は、商標権存続期間が満了した日から起算する。
 
第 35 条 
商標権者は、登録された指定商品又は役務について商標権を取得する。
本法第 36 条に別段の規定がある場合を除き、次に掲げる情況については、商標権者の同意を得なければならない。
  1. 同一の商品又は役務において、登録商標と同一の商標を使用する場合。
  2. 類似する商品又は役務において、登録商標と同一の商標を使用することにより、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。
  3. 同一又は類似の商品又は役務において、登録商標に類似する商標を使用することにより、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。
商標が登録されると、登録商標又は国際的に通用する登録記号を表記することができる。
 
第 36 条 
次に掲げる情況は、他人の商標権の効力による拘束を受けない。
  1. 商業取引の慣習に符合する誠実且つ信用できる方法で、自己の氏名、名称、又はその商品又は役務の名称、形状、品質、性質、特性、用途、産地又はその他商品又は役務自体に関する説明を表示するが、商標として使用しない場合。
  2. 商品又は役務の機能を発揮するために必要な場合。
  3. 他人の商標の登録出願日前に、善意で同一又は類似の商標を同一又は類似する商品又は役務に使用する場合。但し、それは原使用の商品又は役務に限る。その場合、商標権者は該商標を使用する者に対して、適当な区別表示の付記を要求することができる。
登録商標を付した商品が、商標権者又はその同意を得た者により国内外の市場で取引きされ流通する場合、商標権者は該商品について商標権を主張することができない。但し、商品が市場で流通した後、商品の変質、毀損が発生するのを防止するため、又はその他正当な事由がある場合はこの限りでない。
 
第 37 条 
商標権者は、登録商標の使用を指定した商品又は役務について、商標主務官庁に対し、商標権の分割を出願することができる。
 
第 38 条 
商標図案及びその使用を指定する商品又は役務は、登録後、変更することができない。但し、使用を指定した商品又は役務の縮減は、この限りでない。
商標登録事項の変更又は訂正は、第 24 条及び第 25 条の規定を準用する。
登録商標が異議申立て、無効審判又は撤回案件に係るときに、商標権の分割又は使用を指定した商品又は役務の縮減を出願する場合は、処分前に行わなければならない。
 
第 39 条 
商標権者は、その登録商標の使用を指定した商品又は役務の全部又は一部について、指定地区で専用使用権又は非専用使用権を許諾することができる。
前項の使用許諾は、商標主務官庁に登記していない場合、第三者に対抗することができない。
使用許諾を登記後、商標権が移転する場合、その使用許諾契約は譲受人に対しても継続して効力を有する。
非専用使用権の許諾を登記後、商標権者が更に専用使用権の許諾を登記する場合、先行する非専用使用権許諾は影響を受けない。
専用使用権の使用許諾を受けた者は許諾範囲内で、商標権者及び第三者の登録商標使用を排除することができる。商標権が侵害されたとき、専用使用権の許諾範囲内で、専用使用権の許諾を受けた者は、自己の名義を以って権利を行使することができる。但し、契約に別段の約定がある場合は、その約定に従う。
 
第 40 条 
専用使用権の許諾を受けた者は、許諾範囲内で他人に使用権を再許諾することができる。但し、契約に別段の約定がある場合はその約定に従う。
非専用使用権の使用許諾を受けた者が商標権者又は専用使用権の許諾を受けた者の同意を得ずに、他人に使用権を再許諾することはできない。
使用権の再許諾は、商標主務官庁に登記していない場合、第三者に対抗することができない。
 
第 41 条 
商標の使用許諾期間が満了する前に、次の各号のいずれかに該当する場合、当事者又は利害関係人は関連証拠を提出して、商標の使用許諾登記の撤回を請求することができる。
  1. 商標権者及び使用許諾を受けた者双方が終了に同意した場合。再許諾されたものも同様である。
  2. 使用許諾契約に、商標権者又は使用許諾を受けた者は任意に使用許諾関係を終了することができると明確に規定されており、当事者が終了を表明した場合。
  3. 商標権者が、使用許諾を受けた者が使用許諾契約の約定に違反したことを以って、使用許諾を受けた者に使用許諾契約の解除又は終了を通知し、使用許諾を受けた者に異議がない場合。
  4. その他の関連事証によって、使用許諾関係がすでに存在しないことを証明できる場合。
 
第 42 条 
商標権の移転は、商標主務官庁に登記していない場合、第三者に対抗することができない。
 
第 43 条 
商標権を移転した結果、2 以上の商標権者が類似の商品又は役務に同一の商標を使用し、又は同一又は類似の商品又は役務に類似の商標を使用して、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合、各商標権者は使用時に適当な区別表示を付さなければならない。
 
第 44 条 
商標権者は、質権の設定及び質権の変更、消滅について、商標主務官庁に登記していない場合、第三者に対抗することができない。
商標権者が複数の債権の担保とするために、商標権に複数の質権を設定する場合、その順序は登記の後先によりこれを定める。
質権者が商標権者の許諾を得ずに該商標を使用することはできない。
 
第 45 条 
商標権者は商標権を放棄することができる。但し、使用許諾登記又は質権登記をしている場合は、使用許諾を受けた者又は質権者の同意を得なければならない。
前項の放棄は、書面で商標主務官庁に対しこれを行わなければならない。
 
第 46 条 
共有商標権の使用許諾、再許諾、移転、放棄、質権設定又は持分の移転又は質権設定は、共有者全員の同意を得なければならない。但し、相続、強制執行、裁判所の判決又はその他の法律規定によって移転する場合は、この限りでない。
共有商標権者の持分の放棄は、第 28 条第 2 項の但書及び第 3 項の規定を準用する。
共有商標権者が死亡し、相続人がいない、又は消滅後引受人がいない場合、その持分の分配には第 28 条第 4 項の規定を準用する。
共有商標権の使用を指定する商品又は役務の縮減又は分割には、第 28 条第 5 項の規定を準用する。
 
第 47 条 
次の各号のいずれかに該当する場合、その商標権は消滅する。
  1. 第 34 条の規定による更新登録をしなかった場合、商標権は該商標権の存続期間が満了後、消滅する。
  2. 商標権者が死亡し、相続人がいない場合、商標権は商標権者が死亡後、消滅する。
  3. 第 45 条の規定により商標権を放棄する場合は、その書面による表明が商標主務官庁に送達された日に消滅する。
 
第四節 異議申立て
 
第 48 条 
商標の登録が第 29 条第 1 項、第 30 条第 1 項又は第 65 条第 3 項の規定する情況に違反する場合、何人も、商標登録公告日後 3 ヶ月以内に、商標主務官庁に対して異議を申し立てることができる。
前項の異議申立ては、登録商標の使用を指定する一部の商品又は役務についてこれを行うことができる。
異議申立ては 1 登録商標ごとにそれぞれ個別に申請しなければならない。
 
第 49 条 
異議を申し立てる者は、事実及び理由を明記した異議申立書に副本を添えなければならない。異議申立書に添付書類がある場合、副本にもそれを添付しなければならない。
商標主務官庁は、異議申立書を商標権者に送達し、期限を定めて答弁させなければならない。商標権者が答弁書を提出した場合、商標主務官庁は答弁書を異議申立人に送達し、期限を定めて意見を陳述させなければならない。
前項の規定により提出された答弁書又は陳述意見書によって、手続が遅滞するおそれがある場合、又はその事証がすでに明確なものである場合、商標主務官庁は相手方に答弁又は陳述意見を通知せずに、審理を進めることができる。
 
第 50 条 
異議申立てに係る商標の登録に違法の事由があるか否かは、第 106 条第 1 項及び第 3 項の規定を除き、その登録公告時の規定による。
 
第 51 条 
商標に対する異議申立て案件は、原案件を審査したことのない審査官が審査しなければならない。
 
第 52 条 
異議申立ての手続が進行中に、異議申立てを受けた商標権が移転しても、異議申立て手続は影響を受けない。
前項の商標権譲受人は異議申立てを受けた者の地位を引き継ぐことを表明して、異議申立て手続を続行することができる。
 
第 53 条  異議申立て人は異議審決前にその異議申立てを取り下げることができる。
異議申立て人は異議申立てを取り下げた場合、同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由を以って、再度、異議申立て又は無効審判請求を提出することはできない。
 
第 54 条 
異議申立て案件について、異議申立てが成立した場合、その登録を取り消さなければならない。
 
第 55 条 
前条の取消しの事由が、登録商標が使用を指定する一部の商品又は役務にある場合、該部分の商品又は役務についてのみ、その登録を取り消すことができる。
 
第 56 条 
異議が確定後の登録商標については、何人も、同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由を以って、無効審判を請求することはできない。
 
第五節 無効審判
 
第 57 条 
商標の登録が第 29 条第 1 項、第 30 条第 1 項又は第 65 条第 3 項の規定する情況に違反して為された場合、利害関係人又は審査官は商標主務官庁に対し、その登録に係る無効審判を請求又は提起することができる。
商標の登録が第 30 条第 1 項第 10 号の規定に違反しているとして、商標主務官庁に対して商標の無効審判を請求し、それが無効審判に係る商標を登録してすでに 3 年が経過していることを根拠にする場合、無効審判請求前の 3 年間に商品又は役務に使用したと主張する証拠、又はその未使用に正当な事由があるという事証を添付しなければならない。
前項の規定により提出する使用に関する証拠は、商標が真実、使用されていることを証明でき、又、商業取引の一般慣習に符合しなければならない。
 
第 58 条 
商標の登録が第 29 条第 1 項第 1 号、第 3 号、第 30 条第 1 項第 9 号から第 15 号まで、又は第 65 条第 3 項に規定する情況に違反していても、登録公告日から 5 年が経過している場合には、無効審判を請求又は提起することができない。
商標の登録が第 30 条第 1 項第 9 号、第 11 号に規定する情況に違反し、それが悪意で為されたものである場合、前項の期間の制限を受けない。
 
第 59 条 
商標の無効審判案件は、商標主務官庁の長官が 3 名以上の審査官を無効審判委員として指定し、これを審査させる。
 
第 60 条 
無効審判案件が審判により成立した場合、その登録を取り消さなければならない。但し、登録できない情況がすでに存在しない場合は、公益及び当事者の利益の衡平を参酌して、不成立の審判を下すことができる。
 
第 61 条 
無効審判案件の処分が下された後、何人も、同一の事実について、同一の証拠及び同一の理由を以って、無効審判を請求することはできない。
 
第 62 条 
第 48 条第 2 項、第 3 項、第 49 条から第 53 条まで、及び第 55 条の規定は、商標の無効審判にこれを準用する。
 
第六節 撤回
 
第 63 条 
商標登録後、次の各号のいずれかの情況に該当する場合、商標主務官庁は、職権で又は請求によりその登録を撤回しなければならない。
  1. 勝手に商標を変更し又は付記を加えて、他人が同一又は類似の商品又は役務に使用している登録商標の構成と同一又は類似させ、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。
  2. 正当な事由なく使用せず、又は使用を停止し続けて、すでに 3 年が経過した場合。但し、使用許諾を受けた者が使用する場合はこの限りでない。
  3. 第 43 条に規定する適当な区別表示を付していない場合。但し、商標主務官庁の処分前に区別表示を付し、且つ混同誤認を生じるおそれのない場合は、この限りでない。
  4. 商標がすでにその指定商品又は指定役務の慣用標章、名称又は形状となっている場合。
  5. 商標が実際に使用されると、公衆がその商品又は役務の性質、品質又は産地を誤認、誤信するおそれがある場合。
使用許諾を受けた者が前項第 1 号の行為を為し、商標権者は該行為を明らかに知っていた、又は知り得たにもかかわらず、反対を表明しなかった場合も同様とする。
第 1 項第 2 号に規定する情況に該当するが、撤回請求時には該登録商標が使用されている場合、他人が撤回を請求すると知って、該撤回請求前の 3 ヶ月以内に使用を開始したのでなければ、その登録を撤回しない。
撤回の事由が登録商標の使用を指定した一部の商品又は役務にのみ存在する場合、該一部の商品又は役務についてその登録を取り消すことができる。
 
第 64 条 
商標権者が実際に使用している商標が登録商標と異なっているものの、社会の一般通念ではその同一性を失っていないならば、その登録商標を使用していると認めなければならない。
 
第 65 条 
商標主務官庁は撤回請求の事柄を商標権者に通知し、並びに期限を定めて答弁させなければならない。商標権者が答弁書を提出した場合、商標主務官庁は答弁書を請求人に送達し、期限を定めて意見を陳述させる。
但し、請求人の請求に具体的な事証がなく、又はその主張に理由がないのが明らかな場合には、直接却下することができる。
第 63 条第 1 項第 2 号に規定する情況に該当し、その答弁通知が送達された場合、商標権者はその使用の事実を証明しなければならない。期間が終了しても答弁しなかった場合はその登録を直接撤回することができる。
登録商標が第 63 条第 1 項第 1 号に規定する情況に該当し、その登録が撤回された場合、原商標権者は撤回日から 3 年間、原登録図案と同一又は類似の商標を同一又は類似の商品又は役務において登録し、又は譲り受けし、又は使用許諾を受けることができない。それが商標主務官庁の処分前に、商標権の放棄を声明した場合も同様である。
 
第 66 条 
商標登録後に撤回の事由があるか否かは、撤回請求時の規定を適用する。
 
第 67 条   
第 48 条第 2 項、第 3 項、第 49 条第 1 項、第 3 項、第 52 条及び第 53 条の規定は、撤回案件の審査においてこれを準用する。
登録商標が第 63 条第 1 項第 1 号に規定する撤回請求の情況に該当する場合、第 57 条第 2 項及び第 3 項の規定を準用する。
商標権者が第 65 条第 2 項により、使用に関する証拠を提出する場合、第 57 条第 3 項の規定を準用する。
 
第七節 権利侵害の救済
 
第 68 条 
商標権者の同意を得ずに、販売を目的として、次に掲げる各号のいずれかの情況がある場合、商標権の侵害となる。
  1. 同一商品又は役務に、登録商標と同一の商標を使用した場合。
  2. 類似の商品又は役務に、登録商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。
  3. 同一又は類似の商品又は役務に、登録商標と類似する商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。
 
第 69 条 
商標権者は、その商標権を侵害した者に対し、その除去を請求することができる。侵害のおそれがある場合は、侵害防止を請求することができる。
商標権者が前項の規定により請求するとき、商標権侵害に係る物品及び侵害行為に利用される原料又は器具を廃棄するよう請求することができる。但し、裁判所は侵害の程度及び第三者の利益を審らかに斟酌した後、その他の必要な処置を行うことができる。
商標権者は、故意又は過失によりその商標権を侵害された場合、損害賠償を請求することができる。
前項の損害賠償請求権は、請求権者が損害及び賠償義務者の存在を知ったときから 2 年間行使しないと消滅する。侵権行為があったときから 10 年を経過した場合も同様である。
 
第 70 条 
商標権者の同意を得ずに、次に掲げる各号のいずれかの情況がある場合、商標権侵害とみなす。
  1. 他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、同一又は類似の商標を使用して、該商標の識別性又は信用を損なうおそれがある場合。
  2. 他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、該著名商標中の文字を自己の会社、商号、団体、ドメインネーム又はその他営業主体を表彰する名称とし、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある、又は該商標の識別性又は信用を損なうおそれがある場合。
  3. 第 68 条の商標権侵害に該当するおそれがあるのを明らかに知りながら、商品又は役務と結び付いていないラベル、タグ、包装容器、又は役務と関係のない物品を製造、所持、展示、販売、輸出又は輸入する場合。
 
第 71 条 
商標権者が損害賠償を請求するとき、次に掲げる各号のいずれかの方法により、その損害を計算することができる。
  1. 民法第 216 条の規定による。但し、その損害を証明するための証拠方法を提供できない場合、商標権者はその登録商標を使用して通常得られる利益から、侵害された後同一商標の使用によって得た利益を控除し、その差額をこうむった損害とすることができる。
  2. 商標権侵害行為によって得た利益による。商標権を侵害した者がそのコスト又は必要経費について立証できない場合は、該商品を販売して得た収入の全部を所得利益とする。
  3. 押収した商標権侵害に係る商品の小売り単価の 1500 倍以下の金額。但し、押収した商品が 1500 個を超える場合は、その総額を賠償額とする。
  4. 商標権者が他人の使用を許諾して受け取るロイヤリティーの金額をその損害とする。
前項の賠償金額が明らかに不適当である場合、裁判所はこれを斟酌して減額することができる。
 
第 72 条 
商標権者は、輸入又は輸出する物品がその商標権を侵害するおそれがある場合、税関にひとまず差し止めるよう申請することができる。
前項の申請は書面で行い、並びに侵害の事実を釈明し、且つ、税関が見積もった該輸入物品の課税価格又は輸出物品の FOB 価格に相当する保証金又は相当の担保を提供しなければならない。
税関は、差止め申請を受理した場合、即刻、申請者に通知しなければならない。前項の規定に合致すると認めて、差止めを実施するとき、書面で申請者及び差止めを受ける者に通知しなければならない。
差止めを受ける者は、第 2 項の保証金の 2 倍の保証金又は相当の担保を提供して、税関に対し差止めの撤回及び輸出入物品関連の通関規定に従って取り扱うよう求めることができる。
差止め物は、申請人が裁判所の確定判決を取得すると、商標権を侵害した物となり、差止めを受ける者は差止め物のコンテナ延滞料、倉敷料、積み下ろし費用等の関連費用を負担しなければならない。
 
第 73 条 
次に掲げる各号のいずれかの情況に該当する場合、税関は差止めを撤回しなければならない。
  1. 申請人が税関から差止め受理を通知された日の翌日から 12 日以内に、第 69 条の規定に基づく差止め物即ち侵害物への訴訟を提起せず、又、税関に通知しなかった場合。
  2. 申請人が差止め物である侵害物について提起した訴訟が、裁判所により却下確定の裁定が下された場合。
  3. 差止め物につき、商標権を侵害する物ではないとする確定判決が裁判所より下された場合。
  4. 申請人が差止め撤回を申請した場合。
  5. 前条第 4 項の規定に合致する場合。
前項第 1 号が規定する期限につき、税関は必要に応じて 12 日間延長することができる。
税関は第 1 項の規定により差止めを撤回する場合、輸出入物品に関する通関規定に基づいて取り扱わなければならない。
差止めが第 1 項第 1 号から第 4 号までの事由によって撤回された場合、申請人は差止め物のコンテナ延滞料、倉敷料、積み下ろし費用等の関連費用を負担しなければならない。
 
第 74 条 
差止め物につき、商標権を侵害する物ではないとする確定判決が裁判所から下された場合、申請人は、差止めを受けた者が差止めにより、又は第 72 条第 4 項に規定する保証金の提供によってこうむった損害を賠償しなければならない。
申請人は第 72 条第 4 項が規定する保証金について、差止めを受けた者は第 72 条第 2 項が規定する保証金について、質権者と同一の権利を有する。但し、前条第 4 項及び第 72 条第 5 項に規定するコンテナ延滞料、倉庫の使用料、積み下ろし費用等の関連費用は、申請人又は差止めを受けた者への損害補償よりも優先する。
次の各号のいずれかの情況に該当する場合、税関は申請人の申請により、第 72 条第 2 に規定する保証金を返還しなければならない。
  1. 申請人が勝訴の確定判決を受け、又は差止めを受けた者と和解して、保証金を引き続き提供する必要がなくなった場合。
  2. 前条第 1 項第 1 号から第 4 号までに規定する事由によって差止めが撤回され、差止めを受けた者が損害をこうむった後、又は差止めを受けた者が勝訴の確定判決を受けた後、申請人が 20 日以上の期間を定めて、差止めを受けた者に権利の行使を催告したにもかかわらず、行使しなかったことを証明した場合。
  3. 差止めを受けた者が返還に同意した場合。
次の各号のいずれかの情況に該当する場合、税関は差止めを受けた者の申請により、第 72 条第 4 項に規定する保証金を返還しなければならない。
  1. 前条第 1 項第 1 号から第 4 号までに規定する事由により差止めが撤回され、又は差止めを受けた者が申請人と和解し、保証金を引き続き提供する必要がなくなった場合。
  2. 申請人が勝訴の確定判決を受けた後、差止めを受けた者が 20 日以上の期間を定めて、申請人に権利の行使を催告したにもかかわらず、行使しなかったことを証明した場合。
  3. 申請人が返還に同意した場合。
 
第 75 条 
税関が職務を執行中に、輸入又は輸出する物品に明らかに商標権侵害のおそれがあることを発見した場合は、商標権者及び輸出入者に通知しなければならない。
税関が前項の通知を行うときは、期限を定めて、商標権者に税関に出向いて認定するよう求め、権利侵害の事証を提出させなければならない。同時に期限を定めて、輸出入者に権利を侵害していないことを証明する書類を提供させなければならない。但し、商標権者又は輸出入者に正当な理由があり、指定期限内に提出できない場合は、書面で理由を釈明して税関に延長を申請することができる。但し、一回を限りとする。
商標権者はすでに権利侵害の事証を提出したが、輸出入者が前項に規定する、権利を侵害していないことを証明する書類を提出していない場合、税関は暫時、通関不許可の措置を採ることができる。
商標権者が権利侵害の事証を提出し、輸出入者が第 2 項の規定により権利侵害がないことを証明する書類を提出した場合、税関は商標権者に通知し、通知したときから 3 作業日以内に、第 72 条第 1 項の規定による差止め申請を行うよう通知しなければならない。
商標権者が前項に規定する期限内に、第 72 条第 1 項の規定による差止めを申請しなかった場合、税関は代表的なサンプルを抽出した後、物品の通関を許可することができる。
 
第 76 条 
税関は差止め物の機密資料保護を損なわないという情況下で、第 72 条に定めた申請人又は差止めを受ける者又は前条に定めた商標権者又は輸出入者の申請により、その差止め物の検視に同意することができる。
税関が第 72 条第 3 項の規定によって差止めを実施し、又は前条第 3 項の規定に基づき、暫時、通関を許可しない措置を採った後、商標権者は税関に対し関連資料の提供を申請することができる。税関は同意後、輸出入者、荷受人及び出荷人の氏名又は名称、住所及び擬制侵害物品の数量に関する資料を提供する。
商標権者が前項の規定によって取得した情報は、商標権侵害案件の調査及び訴訟提起の目的のみに使用が限られ、任意に第三者に漏洩してはならない。
 
第 77 条 
商標権者は、第 75 条第 2 項の規定に基づき権利侵害の認定を行うとき、税関が見積もった輸入貨物見本の課税価格及び関連する税金、又は税関が見積もった輸出貨物見本の FOB 価格及び関連する税金の 120%に相当する保証金を納付して、税関に対して貨物見本の貸出しを申請して認定を行うことができる。但し、貨物見本を借り受けて認定する必要性があり、しかも商標権者が書面で輸出入者の利益を侵害せず、不正な用途に使用しない旨を誓約した場合に限る。
前項の保証金は NT$3,000 を下回ってはならない。
商標権者が第 75 条第 2 項に定める権利侵害認定の事証を提出する期限までに、借り受けた貨物見本を返還しない、又は返還した貨物見本と原貨物見本が合致しない、又は欠損等の情況が発生した場合、税関はその保証金を留置して、輸出入者の損害を賠償しなければならない。
貨物見本の輸出入者は、前項で留置を規定する保証金に対し、質権者と同等の権利を有する。
 
第 78 条 
第 72 条から第 74 条までに規定する、差止めの申請、差止めの撤回、保証金の納付又は担保の提供、返還の手続、備えるべき書類及びその他の遂行すべき事項に関する規則は、主務官庁が財政部と合同でこれを定める。
第 75 条から第 77 条までに規定する税関の執行する商標権保護措置、権利者による差止め物の検視申請、権利侵害貨物の関連情報の提供申請及び貨物見本の貸出し申請、その手続、備えるべき書類及びその他関連事項の規則は財政部が定める。
 
第 79 条 
裁判所は商標に係る訴訟案件について、専門法廷を設置し、又は専門の担当者を指定して、審理を行わせることができる。
 
第三章 証明標章、団体標章及び団体商標
 
第 80 条 
証明標章とは、証明標章権者がこれを用いて、他人の商品又は役務の特定の品質、精密度、原料、製造方法、産地又はその他の事項を証明し、又、これによって、証明されていない商品又は役務と区別する標識をいう。
前項によって産地を証明する場合、該地理区域の商品又は役務は特定の品質、名声又はその他の特性を具えていなければならない。証明標章の出願人は該地理の名称又は該地理区域を含む、又は該地理区域を示すことのできる標識を産地証明標章として登録出願することができる。
主務官庁は、中央目的事業主務官庁と協力して困窮産業、困窮に瀕する産業及び伝統産業に対し生産力及び産品の品質を向上するよう指導と補助を行い、並びに当該産業別にその産品の原産地を台湾製造と標示する証明標章を確立する。
前項の産業の認定と指導、補助の対象、基準、期間及び遵守すべき事項などは、主務官庁が各当該中央目的事業主務官庁と協議した上でこれを定め、必要であれば証明標章に関する手数料を免除することができる。
 
第 81 条 
証明標章の出願人は、他人の商品又は役務を証明する能力を有する法人、団体又は政府機関に限る。
前項の出願人が、証明しようとする商品又は役務に係る業務に従事している場合、登録を出願することはできない。
 
第 82 条 
証明標章の登録を出願する者は、他人の商品又は役務を証明する能力を有するという書類、証明標章の使用規範書及び証明する商品の製造、販売又は役務提供に従事していない旨の声明書を提出しなければならない。
産地証明標章の登録を出願する出願人の代表性に疑義がある場合、商標主務官庁は商品又は役務の中央目的事業主務官庁の意見を求めることができる。
外国法人、団体又は政府機関が産地証明標章を出願する場合、その名義でその原産国の保護を受けていることを証明する書類を提出しなければならない。第 1 項の証明標章使用規範書には次の事項を記載しなければならない。
  1. 証明標章が証明する内容。
  2. 証明標章を使用する条件。
  3. 証明標章の使用を管理及び監督する方式。
  4. 該証明標章の使用を申請する際の手続事項及びその争議解決方式。
商標主務官庁が登録を公告するとき、証明標章使用規範書を併せて公告しなければならない。登録後に修正する場合は、商標主務官庁の許可を得て、これを公告しなければならない。
 
第 83 条 
証明標章の使用とは、証明標章権者の同意を得た者が証明標章の使用規範書に定められた条件により、該証明標章を使用することをいう。
 
第 84 条 
産地証明標章の産地名称には第 29 条第 1 項第 1 号及び第 3 項の規定を適用しない。
産地証明標章権者は、他人が商業取引の慣習に符合する誠実且つ信用できる方法を以って、その商品又は役務の産地を表示することを禁止してはならない。
 
第 85 条 
団体標章とは、法人資格を有する同業組合、協会又はその他の団体がその会員の会員資格を表彰し、これによって該団体の会員でない者と区別する標識をいう。
 
第 86 条 
団体標章登録の出願では、関連事項を記載した願書に団体標章の使用規範書を添付して、商標主務官庁に提出しなければならない。
前項の団体標章使用規範書には次の事項を記載しなければならない。
  1. 会員の資格。
  2. 団体標章を使用する際の条件。
  3. 団体標章の使用を管理及び監督する方式。
  4. 規範に違反した際の処理規定。
 
第 87 条 
団体標章の使用とは、団体の会員がその会員の身分を表彰するため、団体標章使用規範書に定められた条件に基づき、該団体標章を使用することをいう。
 
第 88 条 
団体商標とは、法人資格を有する同業組合、協会又はその他の団体がその会員の提供する商品又は役務を示し、これによって該団体の会員でない者が提供する商品又は役務と区別する標識をいう。
前項の、団体標章を以って会員が提供する商品又は役務が一定の産地から来たものであることを示す場合、該地理区域の商品又は役務は特定の品質、名声又はその他の特性を有していなければならない。団体商標の出願人は該地理名称を含む、又は該地理区域を示すことができる標識を産地団体商標として登録出願することができる。
 
第 89 条 
団体商標登録の出願は、商品又は役務を記載した願書に団体商標の使用規範書を添付して、商標主務官庁に提出しなければならない。
前項の団体商標使用規範書には次の事項を記載しなければならない。
  1. 会員の資格。
  2. 団体商標を使用する際の条件。
  3. 団体商標の使用を管理及び監督する方式。
  4. 規範に違反した際の処理規定。
産地団体商標使用規範書には、前項の記載すべき事項以外に、地理区域の特定範囲内の者がその商品又は役務及び資格について、使用規範書に合致すれば、産地団体商標権者はその者が会員になることに同意しなければならないと記載しなければならない。
商標主務官庁が登録を公告するとき、併せて団体商標の使用規範書を公告しなければならない。登録後に修正する場合は、商標主務官庁の許可を得て、これを公告しなければならない。
 
第 90 条 
団体商標の使用とは、団体又はその会員が団体商標の使用規範書に定められた条件に基づき、該団体商標を使用することをいう。
 
第 91 条 
第 82 条第 2 項、第 3 項及び第 84 条の規定は産地団体商標に準用する。
 
第 92 条 
証明標章権、団体標章権又は団体商標権は、移転、他人への使用許諾、又は質権の設定をすることができない。但し、その移転又は他人への使用許諾が、消費者の利益に損害を与えず、且つ、公正な競争に違反するおそれがなく、商標主務官庁の許可を受けた場合はこの限りでない。
 
第 93 条 
証明標章権者、団体標章権者又は団体商標権者が次に掲げる各号のいずれかの情況に該当する場合、商標主務官庁は何人を問わずその請求により、又は職権で証明標章、団体標章又は団体商標の登録を撤回することができる。
  1. 証明標章を商標として使用する。
  2. 証明標章権者がその証明する商品又は役務の業務に従事する。
  3. 証明標章権者が該登録商品又は役務を証明する能力を喪失する。
  4. 証明標章権者が証明を申請した者に対して差別待遇をする。
  5. 前条の規定に違反して、移転、使用許諾又は質権の設定をする。
  6. 使用規範書に基づく使用を管理及び監督しない。
  7. その他の不当な方法で使用し、他人又は公衆に損害をもたらすおそれがある。
使用許諾を受けた者が前項の行為を行い、証明標章権者、団体標章権者又は団体商標権者が明らかに知りながら、又は知り得たのに、反対の表明をしなかった場合も同様である。
 
第 94 条 
証明標章、団体標章又は団体商標は、本章に別段の規定がある場合を除き、その性質によって本法の商標に関連する規定を準用する。
 
第四章 罰 則
 
第 95 条 
商標権者又は団体商標権者の同意を得ずに、販売を目的として、次に掲げる各号のいずれかの情況に該当する場合、3 年以下の懲役刑、拘留又は NT$200,000 以下の罰金に処する又は併処する。
  1. 同一の商品又は役務に、登録商標又は団体商標と同一の商標を使用する。
  2. 類似の商品又は役務に、登録商標又は団体商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある。
  3. 同一又は類似の商品又は役務に、登録商標又は団体商標と類似の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある。
 
第 96 条  証明標章権者の同意を得ずに、販売を目的として、同一又は類似の商品又は役務に、登録した証明標章と同一又は類似の標章を使用し、関連する消費者に誤認、誤信させるおそれがある場合は、3 年以下の懲役刑、拘留又は NT$200,000 以下の罰金に処するまたは併処する。
前項の証明標章権侵害のおそれがあると明らかに知りながら、他人が登録した証明標章と同一または類似の標識を付したラベル、包装容器又はその他の物品を販売又は販売を意図して製造、所持、展示した場合も同様である。
 
第 97 条 
他人の行った前二条の商品であることを明らかに知りながら、販売、又は販売を意図して所持、展示、輸出又は輸入した場合は、1 年以下の懲役刑、拘留又は NT$50,000 以下の罰金に処しまたは併処する。電子メディア又はネットワーク方式を通じて行われた場合も同様である。
 
第 98 条 
商標権、証明標章権又は団体商標権を侵害する物品又は書類は、犯罪行為者の所有に属するか否かを問わず、これを没収する。
 
第 99 条 
許認可を得ていない外国法人又は団体は、本法の規定事項について告訴、自訴又は民事訴訟を提起することができる。我が国の非法人団体も証明標章権を取得した場合、同様である。
 
第五章 附則
 
第 100 条 
本法 2003 年 4 月 29 日改正の条文が施行される前に登録した役務標章は、本法の改正施行日から商標とみなす。
 
第 101 条 
本法 2003 年 4 月 29 日改正の条文が施行される前に登録した連合商標、連合役務標章、連合団体標章又は連合証明標章は、本法の改正施行日から、独立した登録商標又は標章とみなす。その存続期間は原許可を基準とする。
 
第 102 条 
本法 2003 年 4 月 29 日改正の条文が施行される前に登録された防護商標、防護役務標章、防護団体標章又は防護証明標章は、その登録時の規定に従う。その専用期間満了前に、独立した登録商標又は標章への変更を申請しなければならない。期間が満了になっても変更を申請していない場合、商標権は消滅する。
 
第 103 条 
前条により、独立した登録商標又は標章への変更を申請した場合、第 63 条第 1 項第 2 号に規定された 3 年間の期間は、変更日から起算する。
 
第 104 条 
本法による登録出願、登録更新、異動登記、異議申立て、無効審判請求、撤回請求及びその他の各手続では、出願料、登録料、登録更新料、登記料、異議申立て請求費用、無効審判請求費用、撤回請求費用等、関連する各規定手数料を納付しなければならない。
前項の徴収基準は、主務官庁が定める。
 
第 105 条 
本法 2011 年 5 月 31 日改正の条文が施行される前に、登録料を二期に分けて納付していた場合、第二期の登録料は改正前の規定に基づき取り扱う。
 
第 106 条 
本法 2011 年 5 月 31 日改正の条文が施行される前にすでに受理していたが、未処分の異議申立て又は無効審判案件は、登録時及び本法の改正施行後の規定のいずれにも違法する事由に限り、その登録を取り消す。その手続は改正施行後の規定によって行う。但し、改正施行前に法に基づいて進めていた手続については、その効力は影響を受けない。
本法 2011 年 5 月 31 日改正の条文が施行される前にすでに受理していたが、未処分の無効審判案件には第 57 条第 2 項及び第 3 項の規定を適用しない。
本法 2011 年 5 月 31 日改正の条文が施行される前に登録した商標、証明標章及び団体標章に対し、本法改正施行後に異議申立て、無効審判を請求又は提起する場合、その登録時及び本法改正施行後の規定のいずれにも違法する事由に限る。
 
第 107 条 
本法 2011 年 5 月 31 日改正の条文が施行される前に未処分だった商標撤回案件には、本法改正施行後の規定を適用して取り扱う。但し、改正施行前にすでに法に基づいて進めていた手続については、その効力は影響を受けない。
本法 2011 年 5 月 31 日改正の条文が施行される前にすでに受理していたが、未処分の撤回案件には第 67 条第 2 項の第 57 条第 2 項を準用するという規定を適用しない。
 
第 108 条 
本法 2011 年 5 月 31 日改正の条文が施行される前に、動態、ホログラム又はその連合式によって登録を出願した場合、改正した条文の施行日がその出願日となる。
 
第 109 条 
動態、ホログラム又はその連合式で登録を出願し、優先権を主張する場合、台湾と相互に優先権を承認し合う国又は世界貿易機関の加盟国における出願日が本法 2011 年 5 月 31 日改正の条文施行より早い場合は、2011 年 5 月 31 日改正の条文施行日がその優先権日となる。
台湾政府が主権する又は承認する国際的な博覧会で、登録出願した商標の商品又は役務を出展して博覧会による優先権を主張し、その出展日が 2011 年 5 月 31 日改正の条文施行より早い場合は、2011 年 5 月 31 日改正の条文施行日をその優先権日とする。
 
第 110 条 
本法の施行細則は主務官庁が定める。
 
第 111 条 
本法の施行日は、行政院が定める。