台湾専利法



第一章 総則
 
第 1 条
本法は、発明特許、実用新案及び意匠の創作を奨励、保護、利用し、産業の発展を促進するために制定される。
 
第 2 条  
本法で専利とは、次に掲げるものをいう。
1.発明特許
2.登録実用新案
3.登録意匠
 
第 3 条本法の主務官庁は経済部である。
経済部は、専門機関を指定して専利業務を行わせる。
 
第 4 条
外国人の属する国と台湾が共同して特許保護に関する国際条約に加盟していない場合、又は相互に特許を保護する条約や協定又は団体や機構間で特許保護に関する主務官庁が認可した協議がない場合、又は当該外国人の本国が台湾人民による特許出願を受理しない場合は、当該外国人の特許出願を受理しないことができる。
 
第 5 条   特許出願権とは、本法により特許出願をする権利を指す。
特許出願権者とは、本法で別に規定がある場合、又は契約で別段の約定がある場合を除き、発明者、実用新案の考案者、設計者又はその譲受人や相続人を指す。第 6 条特許出願権及び特許権は、いずれも譲渡又は相続することができる。
特許出願権は、質権の目的とすることができない。
特許権を目的として質権を設定した場合、契約で別段の約定がある場合を除き、質権者は当該特許権を実施することができない。
 
第 7 条   
従業者が職務上完成した発明、実用新案又は意匠について、その特許出願権及び特許権は雇用者に帰属し、雇用者は従業者に相当の対価を支払わなければならない。ただし、契約で別段の約定がある場合は、それに従う。
前項の職務上完成した発明、実用新案又は意匠とは、従業者が雇用関係下の業務で完成した発明、実用新案又は意匠を指す。
一方が出資し、他人を招聘して研究開発に従事させる場合、その特許出願権及び特許権の帰属は双方の契約の約定に従う。契約に約定がない場合、特許権は発明者、実用新案の考案者又は意匠の創作者に帰属する。ただし、出資者は、その発明、実用新案又は意匠を実施することができる。
第 1 項、前項の規定により、特許出願権及び特許権が雇用者又は出資者に帰属する場合、発明者、実用新案の考案者又は意匠の創作者は氏名表示権を享有する。
 
第 8 条   
従業者が職務上完成したものではない発明、実用新案又は意匠について、その特許出願権及び特許権は従業者に帰属する。ただし、その発明、実用新案又は意匠が雇用者の資源又は経験を利用したものである場合、雇用者が従業者に相当の対価を支払えば、当該事業者においてその発明、実用新案又は意匠を実施することができる。
従業者が職務外で発明、実用新案又は意匠を完成した場合は、直ちに書面で雇用者に通知しなければならない。必要があれば、創作の過程についても告知しなければならない。
前項の書面通知送達後 6 ヶ月以内に、雇用者が従業者に反対の意を示さなければ、当該発明、実用新案又は意匠が職務上の発明、実用新案又は意匠であると主張することができない。
 
第 9 条前条の雇用者と従業者の間で締結された契約で、従業者がその発明、実用新案又は意匠の権益を享受できないように定めるものは、無効とする。
 
第 10 条
雇用者又は従業者は、第 7 条及び第 8 条で定める権利の帰属に関し紛争があり協議が成立した場合、証明書類を添付して、特許主務官庁に権利者の名義変更を申請することができる。特許主務官庁が必要と認めるときは、その他法令によって取得した調停、仲裁又は判決に関する書類を添付するよう当事者に通知することができる。
 
第 11 条
出願人は、特許出願及び特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行うことができる。
台湾内に住所又は営業所がない者は、特許出願及び特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行わなければならない。
代理人は、法令に別段の規定がある場合を除き、弁理士でなければならない。
弁理士の資格及び管理は別途法律で定める。
 
第 12 条
特許出願権が共有である場合、共有者全員により出願が提出されなければならない。
2 人以上が共同で特許出願以外の特許に関する手続を行う場合、出願の取下又は放棄、分割、出願変更又は本法の別段の規定により共同署名しなければならない場合を除き、各自が単独でその他の手続を行うことができる。ただし、代表者を約定した場合、それに従う。
前 2 項のように共同署名しなければならない情況においては、そのうちの 1 人を送達を受けるべき者として指定しなければならない。送達を受けるべき者の指定がない場合、特許主務官庁は、第 1 順位の出願人を送達を受けるべき者
に指定し、並びに送達事項をその他の者に通知しなければならない。
 
第 13 条
特許出願権が共有である場合は、全ての共有者の同意を得なければ、譲渡又は放棄を行うことはできない。
特許出願権が共有である場合は、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を他人に譲渡することができない。
特許出願権の共有者がその持分を放棄した場合、当該部分はその他の共有者に帰属する。
第 14 条
特許出願権を継承した者が出願時に継承人の名義で特許出願をしなかった、又は出願後特許主務官庁に名義変更を申請しなかった場合、第三者に対抗することができない。
前項の名義変更を申請する場合、譲受又は相続を問わず、証明書を添付しなければならない。
 
第 15 条
特許主務官庁の職員及び特許審査官は、その在職期間内において、相続の場合を除き、特許出願をすることができず、かつ、直接又は間接を問わず、特許に係るいかなる権益も受けることができない。
特許主務官庁の職員及び特許審査官は、その職務上知り得た、又は所有した特許に係る発明、実用新案、意匠、又は出願人の事業上の秘密に対し、守秘義務を負う。違反した者は、関連法律により責任を負わねばならない。
特許審査官の資格は、法律で定める。
 
第 16 条
特許審査官が次の各号のいずれか一つに該当する場合、自ら忌避しなければならない。
1.本人又はその配偶者が、当該特許出願の出願人、特許権者、無効審判の請求人、代理人、代理人の共同事業者、又は代理人と雇用関係にある者である場合。
2.当該特許の出願人、特許権者、無効審判の請求人、又は代理人の四親等内の血族、若しくは三親等内の姻族である場合。
3.本人又はその配偶者が、当該特許出願について特許出願人、特許権者、無効審判の請求人と共同権利人、共同義務人又は償還義務人の関係にある場合。
4.当該特許出願の出願人、特許権者、無効審判の請求人の法定代理人、家長、家族である場合、又はかつてこれらの関係にあった場合。
5.当該特許出願の出願人、特許権者、無効審判の請求人の訴訟代理人、補佐人である場合、又はかつてこれらの関係にあった場合。
6.当該特許出願の証人、鑑定人、異議申立人、無効審判の請求人である場合、又はかつてこれらの関係にあった場合。
特許審査官が忌避すべきであるにもかかわらず、忌避しなかった場合、特許主務官庁は、職権で又は請求により、当該特許審査官がした処分を取り消した後、別に適当な処分をすることができる。
 
第 17 条
特許に関する出願及びその他の手続をなすべき者が、法定又は指定の期間内に手続をしなかった場合、本法に別段の規定がある場合を除き、その手続を受理してはならない。ただし、処分を受ける前に補正を行った者に対しては、その手続を受理しなければならない。
天災又は自らの責任に帰することのできない事由により法定期間を徒過した場合、その原因が消滅した日から 30 日以内に書面をもって理由を説明し、特許主務官庁に対し、原状回復を申請することができる。ただし、法定期間の徒過より 1 年を超えた場合は、原状回復を申請することができない。
原状回復を申請する場合、同時にその期間内になすべき手続を補完しなければならない。
前二項の規定につき、第 29 条第 4 項、第 52 条第 4 項、第 70 条第 2 項、第 120 条における第 29 条第 4 項の準用、第 120 条における第 52 条第 4 項の準用、第 120 条における第 70-条第 2 項の準用、第 142 条第 1 項における第 29 条第 4 項の準用、第 142 条第 1 項における第 52 条第 4 項の準用、第 142 条第 1
項における第 70 条第 2 項の準用を徒過したものは、これを適用しない。
 
第 18 条
査定書又はその他の書類を送達する方法がない場合、特許公報においてこれを公告しなければならない。また、公報掲載日から 30 日が経過した後、送達が完了したものとみなす。
 
第 19 条
特許に係る出願及びその他の手続は、電子方式で行うことができる。その実施方法は主務官庁が定める。
 
第 20 条
本法の期間に関する計算には、その開始日を含まない。
第 52 条第 3 項、第 114 条及び第 135 条でそれぞれ定める発明特許権、実用新案権、意匠権の権利存続期間は、出願日当日から起算する。
       
第二章 発明特許
 
第一節 特許要件
 
第 21 条
発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作を指す。
 
第 22 条
産業上利用することのできる発明は、次の各号いずれかに該当しなければ、本法により出願し、特許を受けることができる。
1.出願前に既に刊行物に記載されたもの。
2.出願前に既に公然実施されたもの。
3.出願前に既に公然知られたもの。
発明が前項各号の事情に該当しなくても、それが属する技術分野の通常知識を有する者が出願前の従来技術に基づいて容易に完成できる場合は、発明特許を受けることができない。
出願人の意図によるものまたは出願人の意図に反する公開の事実が生じた日から 12 ヶ月以内に特許出願をした場合は、当該事実が第 1 項各号又は前項に言う発明特許を受けることができない事情に該当しない。
出願により台湾または外国において法に基づき公報に公開されたことが出願人の意図によるものである場合、前項の規定を適用しない。
 
第 23 条
特許を出願した発明が、その出願より先に出願され、かつその出願後はじめて公開又は公告された発明特許若しくは実用新案登録出願に添付される明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された内容と同一である場合、特許を受けることができない。ただし、当該出願人と先に出願された発明又は実用新案登録の出願人が同一である場合は、この限りでない。
 
第 24 条
次の各号のいずれかに該当するものは、発明特許を受けることができない。
1.動物、植物、及び動物や植物を生み出す主な生物学的方法。但し、微生物学的方法はこの限りでない。
2.人又は動物の病気の診断、治療又は外科手術の方法。
3.公序良俗を害するもの。
 
第二節 出願
 
第 25 条
発明特許出願は、特許出願権者が願書、明細書、特許請求の範囲、要約及び必要な図面を備えて、特許主務官庁にこれを提出する。
発明特許出願は、願書、明細書、特許請求の範囲及び必要な図面が全て揃った日を出願日とする。
出願時に、明細書、特許請求の範囲及び必要な図面の中国語による翻訳文を提出せず、外国語で提出し、かつ特許主務官庁が指定する期間内に中国語による翻訳文が補正された場合、当該外国語書面が提出された日を出願日とする。
前項に言う指定期間を過ぎて中国語による翻訳文を補正しなかった場合、出願を受理しない。ただし、処分前に補正した場合、補正した日を出願日とし、当該外国語書面は提出されなかったと見なす。
 
第 26 条
明細書は、当該発明が属する技術分野の通常知識を有する者が、その内容を理解し、それに基づいて実現することができるように、明確かつ十分に開示しなければならない。
特許請求の範囲は特許を出願する発明を特定し、1 項以上の請求項を含むことができる。各請求項は、明確かつ簡潔な方式で記載し、かつ、明細書により裏づけられなければならない。
要約は、開示する発明内容の概要を明確に説明しなければならないが、それに基づいて開示が充分であるか否か、及び特許を出願する発明が特許の要件に合致しているか否かを決定することができない。
明細書、特許請求の範囲、要約及び図面の開示方式は、本法施行細則で定める。
 
第 27 条
生物材料又は生物材料を利用する発明特許を出願しようとする場合、出願人は遅くとも出願日までに当該生物材料を特許主務官庁指定の台湾の寄託機関に寄託しなければならない。ただし、当該生物材料が、それが属する技術領域の通常知識を有する者により容易に取得できる場合、寄託する必要はない。
出願人は出願日から 4 ヶ月以内に寄託機関、寄託日及び寄託番号を明記した寄託証明書を提出しなければならない。期間が満了しても当該証明書を提出しなかった場合、寄託しなかったものとみなす。
前項に言う期間につき、第 28 条の規定により優先権を主張する場合は、最先優先日から起算して 16 ヶ月以内とする。
出願前に既に特許主務官庁が認可した外国寄託機関に寄託し、かつ第 2 項又は前項に規定する期間内に特許主務官庁指定の寄託機関に寄託した旨の証明書類及び外国寄託機関発行の証明書類を提出する場合には、遅くとも出願日までに寄託機関に寄託しなければならないとする第 1 項の制限を受けない。
出願人が台湾と相互に寄託の効力を承認する外国が指定するその寄託機関に寄託し、かつ、第 2 項又は第 3 項に規定する期間内に当該寄託機関発行の証明書類を提出する場合には、台湾内に寄託するという制限を受けない。
第 1 項の生物材料寄託の受理要件、種類、形態、数量、費用及びその他の寄託執行に関わる規則は、主務官庁が定める。
 
第 28 条
出願人が、同一の発明について、台湾と相互に優先権を承認する国家において又は WTO 加盟国において、最初に法律に則って特許出願し、かつ最初の特許出願日後の 12 ヶ月以内に、台湾に特許出願をする場合、優先権を主張することができる。
出願人が 1 出願において 2 以上の優先権を主張する場合、前項期間の計算は最先の優先日を基準とする。
外国の出願人が WTO 加盟国の国民ではなく、かつその所属する国と台湾とが相互に優先権を承認していない場合、WTO 加盟国又は互恵関係にある国の領域内に住所又は営業所を有していれば、第 1 項の規定により優先権を主張することができる。
優先権を主張した場合、その特許要件の審査は優先日を基準とする。
 
第 29 条
前条の規定により優先権を主張しようとする者は、特許出願と同時に、下記の内容を申し出なければならない。
  1. 最初の出願の出願日。
  2. 該出願を受理した国又は WTO 加盟国。
  3. 最初の出願の出願番号。
出願人は、最先優先日から起算して 16 ヶ月以内に、前項の国又は WTO 加盟国が受理を証明した特許出願書類を提出しなければならない。
第 1 項第 1 号、第 2 号又は前項の規定に違反する場合は、優先権を主張しなかったと見なす。
出願人が故意によらず特許出願と同時に優先権を主張しなかった場合、又は第 1 項第 1 号、第 2 号の規定に違反し主張しなかったと見なされた場合は、最先優先日から起算して 16 ヶ月以内に優先権主張の回復を請求することができ、かつ出願料の納付及び第 1 項に規定する行為を補足して行う。
 
第 30 条
出願人が台湾においてその先に出願した発明又は実用新案に基づいて特許を出願する場合、先願出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明若しくは実用新案に基づいて優先権を主張することができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、優先権を主張することができない。
1.先願の出願日から既に 12 ヶ月を経過した場合。
2.先願に記載された発明又は実用新案において第 28 条又は本条の規定により既に優先権を主張した場合。
3.先願が第 34 条第 1 項又は第 107 条第 1 項規定の分割出願、又は第 108 条第 1 項規定の変更出願である場合。
4.先願が発明出願で、既に公告又は拒絶査定が確定している場合。
5.先願が実用新案出願で、既に公告又は拒絶処分が確定している場合。
6.先願が既に取り下げられた場合、又は受理されなかった場合。
前項の先願は、その出願日から 15 ヶ月を経過したときに取り下げたものとみなす。
先願の出願日から 15 ヶ月を経過した後は、優先権の主張を取り下げることができない。
第1項により優先権を主張した特許出願が先願の出願日から15ヶ月以内に取り下げられた場合、同時に優先権の主張も取り下げられたものとみなす。
特許出願人が 1 出願について 2 以上の優先権を主張する場合、その優先権期間の計算は最先の優先日を基準とする。
優先権が主張された場合、その特許要件の審査は、優先日を基準とする。
第 1 項により優先権を主張しようとする者は、特許出願と同時に先願の出願日及び出願番号を申し出なければならない。申し出なかった場合は優先権を主張しなったと見なす。
 
第 31 条
同一の発明について、2 以上の特許出願があった場合、最先に出願した者のみが特許を受けることができる。ただし、後から出願した者が主張する優先日が先願の出願日より早い場合は、この限りでない。
前項の出願日、優先日が同日である場合は、これを協議により定めるよう出願人に通知しなければならない。協議が成立しない場合、いずれの出願人も発明特許を受けることができない。その出願人が同一人である場合、期限を指定していずれか 1 つの出願を選択するよう出願人に通知しなければならない。当該期限が過ぎてもいずれか 1 つの出願を選択しなかった場合、いずれの出願も発明特許を受けることができない。
各出願人が協議する場合、特許主務官庁は適当な期間を指定して当該協議結果を報告するよう出願人に通知しなければならない。当該期限が過ぎても報告がなかった場合、協議が成立しなかったものとみなす。
同一の創作が発明特許及び実用新案登録をそれぞれ出願する場合は、第 32 条
に規定する事情がある場合を除き、前 3 項の規定を準用する。
 
第 32 条
同一人が同一の創作について、同日に発明特許及び実用新案登録をそれぞれ出願する場合、出願時にそれぞれ声明しなければならない。その発明特許の出願が査定される前に実用新案登録を受けた場合、特許主務官庁は、期限を指定していずれか 1 つを選択するよう出願人に通知しなければならない。当該期限が過ぎてもいずれか 1 つを選択しなかった場合は、発明特許を受けることができない。
出願人が前項規定により発明特許を選択した場合、その実用新案登録は初めから存在しなかったと見なす。
発明特許が査定される前に、実用新案登録が既に当然消滅又は取り消されることが確定したものは、特許を受けることができない。
 
第 33 条
発明特許出願は、1 つの発明ごとに出願を提出しなければならない。
2 以上の発明が、1 つの広義の発明概念に属する場合、1 出願において出願を提出することができる。
 
第 34 条
特許を出願した発明が、実質上 2 以上の発明である場合、特許主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。
分割出願は次の各号に掲げる期間内にこれを行わなければならない。
  1. 原出願の再審査の査定前
  2. 原出願の登録査定書、再審査の登録査定書の到達日から起算して 3 ヶ月以内。
分割後の出願は、原出願の出願日を出願日とする。優先権がある場合は、優先権を主張することができる。
分割後の出願は、原出願の出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示された範囲を超えてはならない。
第 2 項第 1 号規定により分割を行った後の出願は、原出願で既に完了した手続から審査を続行しなければならない。
第 2 項第 2 号規定により行う分割は、原出願の明細書又は図面に開示された発明で、且つ登録査定となった請求項と同じ発明に属しないものから分割出願しなければならない。分割を行った後の出願は、原出願が査定される前の審査手続きを続行するものとする。
原出願の登録査定を経た明細書、特許請求の範囲又は図面は変動してはならず、
登録査定時の特許請求の範囲及び図面をもってこれを公告するものとする。
 
第 35 条
発明特許権は、特許出願権者若しくは特許出願権共有者が当該発明特許の公告日から 2 年以内に、第 71 条第 1 項第 3 号の規定に従って、無効審判を請求し、かつ審決で無効が確定した日から 2 ヶ月以内に同一の発明について特許出願した場合、当該無効が確定された発明特許権の出願日をその出願日とする。
前項規定により出願した出願については、改めて公告しない。
 
第三節 審査及び再審査
 
第 36 条
特許主務官庁は、発明特許出願の実体審査について、特許審査官を指定して、これを審査させなければならない。
 
第 37 条
特許主務官庁が、発明特許出願書類を受理した後、審査の結果、手続に規定に合致しない箇所がなく、かつ公開すべきでない事情がないと認めた場合、出願日から 18 ヶ月後に当該出願を公開しなければならない。
特許主務官庁は、出願人の請求により、その出願を早期公開することができる。
発明特許の出願が、次の各号のいずれかに該当する場合、公開しない。
1.出願日から 15 ヶ月以内に取り下げられる場合。
2.国防上の機密又はその他の国家安全に関わる機密に及ぶ場合。
3.公序良俗を害する場合。
第 1 項及び前項の期間の計算は、優先権主張があった場合、優先日を基準とする。2 以上の優先権を主張する場合は最先の優先日を基準とする。
 
第 38 条
何人も、発明特許出願日から 3 年以内に、特許主務官庁に対し、その発明特許出願について実体審査の請求をすることができる。
第 34 条第 1 項の規定による分割出願、又は第 108 条第 1 項の規定による発明特許への出願変更は、前項の期間を過ぎた場合、分割出願又は出願変更を行った日から 30 日以内に、特許主務官庁に実体審査の請求をすることができる。
前二項の規定により行った審査の請求は取り下げることができない。
第 1 項又は第 2 項に規定される期間内に実体審査を請求しなかった場合、当該発明特許出願は取り下げられたものとみなす。
 
第 39 条
前条の審査を請求する場合、申請書を提出しなければならない。
特許主務官庁は、審査請求の事実を、特許公報に掲載しなければならない。
発明特許出願人以外の者から審査が請求された場合、特許主務官庁は、その事実を発明特許出願人に通知しなければならない。
 
第 40 条
発明特許出願の公開後、特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施している場合、特許主務官庁は、請求により、当該特許出願を優先的に審査することができる。
前項の請求をする場合、関係証明書類を提出しなければならない。
 
第 41 条
発明特許出願人は、その出願の公開後、かつて発明特許出願内容について書面による通知を行ったにもかかわらず、通知後かつ公告前に依然として当該発明を業として実施し続けた者に対し、当該発明特許出願の公告後、適当な補償金の支払いを請求することができる。
既に公開された発明特許出願であることを明らかに知りながら、公告前に業として当該発明を実施し続けた者に対しても、前項の請求をすることができる。前二項の規定による請求権は、その他の権利の行使を妨げない。但し、本法第 32 条により特許と実用新案をそれぞれ出願し、実用新案権をすでに取得した場合、補償金の請求又は実用新案権の行使のうちいずれか一つ選択して主張することができる。
第 1 項、第 2 項による補償金の請求権は、公告日から 2 年以内に行使しなければ、消滅する。
 
第 42 条
特許主務官庁は、発明特許の審査の際、請求により又は職権で、期限を指定して次の各号の事項を行うよう出願人に通知することができる。
1.特許主務官庁に出頭して面談に応じる。
2.必要な実験を行い、模型又は見本を追加する。
前項第 2 号の実験、追加された模型又は見本について、特許主務官庁は必要であれば、現場又は指定した場所で実地検証を行うことができる。
 
第 43 条
特許主務官庁は、発明特許の審査の際、本法に別段の規定がある場合を除き、請求又は職権により、期限を指定して明細書、特許請求の範囲又は図面を補正するよう出願人に通知することができる。
補正は、誤訳の補正を除き、出願の際の明細書、特許請求の範囲又は図面が開示した範囲を超えてはならない。
特許主務官庁が第 46 条第 2 項の規定に従い通知した後、出願人は通知された期間内にのみ補正を行うことができる。
特許主務官庁は、前項の規定により通知した後、必要があると認めたとき、最終の通知書を送付することができる。最終の通知書を送付された場合、特許請求の範囲の補正につき、出願人は通知された期間内にのみ、次の各号について補正を行うことができる。
1.請求項の削除
2.特許請求の範囲の減縮
3.誤記の訂正
4.明瞭でない事項の釈明
前二項の規定に違反したものにつき、特許主務官庁は査定書においてその事由を明確に述べた上で直ちに査定することができる。
原出願又は分割後の出願に次の各号のいずれかがあった場合、特許主務官庁は直ちに最終の通知書を送付することができる。
1.原出願に対し行った通知と分割後の出願について既に通知した内容とが同一である場合。
2.分割後の出願に対し行った通知と原出願について既に通知した内容とが同一である場合。
3.分割後の出願に対し行った通知とその他分割後の出願について既に通知した内容とが同一である場合。
 
第 44 条
第 25 条第 3 項規定により、外国語書面で明細書、特許請求の範囲及び図面を提出した場合、その外国語書面は補正してはならない。
第 25 条第 3 項規定により補正した中国語による翻訳文は、出願の際の外国語書面が開示した範囲を超えてはならない。
前項に言う中国語による翻訳文について、その誤訳の訂正は、出願の際の外国語書面が開示した範囲を超えてはならない。
 
第 45 条
発明特許出願について審査した後、査定書を作成し、特許出願人に送達しなければならない。
拒絶査定する際は、査定書に理由を記さなければならない。
査定書には特許審査官が記名しなければならない。再審査、訂正、無効審判の審理、権利存続期間の延長審査及び権利存続期間延長の無効審判の審理に係る査定書も同様とする。
 
第 46 条
特許出願が第 21 条から第 24 条、第 26 条、第 31 条、第 32 条第 1 項、第 3 項、第 33 条、第 34 条第 4 項、第 6 項前段、第 43 条第 2 項、第 44 条第 2 項、第 3 項、又は第 108 条第 3 項の規定に違反する場合は、特許を付与しない旨の査定を下さなければならない。
特許主務官庁が前項の査定を下す前には、期限を指定して、出願人に意見書を提出するよう通知しなければならない。当該期限が過ぎても意見書を提出しなかったものは、直接に特許を付与しない旨の査定を下すものとする。
 
第 47 条
審査の結果、拒絶すべき理由がないと認めた発明については、特許を許可し、その特許請求の範囲及び図面を公告しなければならない。
公告された特許について、何人も、その査定書、明細書、特許請求の範囲、要約、図面及び全ファイル資料の閲覧、抄録、撮影又はコピーを請求することができる。ただし、特許主務官庁が法により秘密を保持しなければならない場合は、この限りでない。
 
第 48 条
発明特許出願人は、拒絶査定に不服がある場合、査定書送達後 2 ヶ月以内に理由書を添付して再審査を請求することができる。ただし、出願手続の不適法又は出願人不適格の理由で受理されなかった場合、又は却下された場合は、法律により行政救済を提起することができる。
 
第 49 条
第 46 条第 2 項の規定により拒絶査定された出願は、再審査の際、依然として明細書、特許請求の範囲又は図面を補正することができる。
出願の審査後、最終の通知書が送付され、特許拒絶の査定をされたものについて、その再審査の際に行う補正は依然として第 43 条第 4 項の各号の規定の制限を受ける。ただし、特許主務官庁が再審査した後、原審査手続きの最終通知書の送付が不当であると認める場合は、この限りではない。
次の各号のいずれかの事情がある場合、特許主務官庁は直接に最終通知書を送付することができる。
1.再審査の理由に依然として拒絶の事由がある場合
2.再審査の際に行った補正に依然として拒絶の事由がある場合
3.前項による補正が第 43 条第 4 項の各号の規定に違反する場合
 
第 50 条
再審査時、特許主務官庁は、原審査に参与しなかった特許審査官を指定して、これを審査させ、かつ、査定書を作成させて出願人に送達しなければならない。
 
第 51 条
発明を審査した結果、それが国防機密又はその他の国の安全に係わるとき、国防部又は国家安全関連機関に意見を聴取しなければならない。秘密を保持する必要があると認められた場合、出願書類は封緘する。出願の実体審査を経たものは、査定書を作成し、出願人及び発明者に送達しなければならない。
出願人、代理人及び発明者は、前項の発明について秘密を保持しなければならない。これに違反した場合、当該特許出願権を放棄したものとみなす。
当該秘密保持の期間は、査定書を出願人に送達した後から 1 年間とし、1 年ごとにそれを延長することができる。特許主務官庁は期間満了の 1 ヶ月前に国防部又は国家安全関連機関に問い合わせ、秘密保持の必要がないと認められた場合は、直ちに公開しなければならない。
特許査定された第 1 項の発明に秘密保持の必要性がなくなった場合、特許主務官庁は出願人に 3 ヶ月以内に証書料及び 1 年目の特許料を納付するよう通知して初めて公告を行う。期限が満了しても納付しなかった場合は、公告を行わない。
秘密保持期間に出願人が受けた損失について、政府はそれ相当の補償を与えなければならない。
       
 
第四節 特許権
 
第 52 条
特許出願された発明は、許可査定後、出願人は査定書送達後 3 ヶ月以内に証書料及び 1 年目の特許料を納付しなければならず、前記の費用が納付された後はじめて公告される。期間が満了しても前記費用を納付しなかった場合、公告を行わない。
特許出願された発明は、公告の日より発明特許権を付与し、証書を交付する。
発明特許権の存続期間は、出願日から起算して 20 年をもって満了とする。
出願人が故意により第 1 項又は前条第 4 項に定める納付期限を過ぎたものでなければ、納付期間が満了後 6 ヶ月以内に、証書料及び 1 年目の特許料の 2 倍を納付した後、特許主務官庁によりこれを公告することができる。
 
第 53 条
医薬品、農薬又はその製造方法に係る発明特許権の実施は他の法律の規定により、許可証を取得しなければならないものについて、その取得が特許出願の公告日の後である場合、特許権者は 1 回目の許可証をもって、特許権の存続期間を 1 回に限り延長を申請することができる。また、当該許可証による特許権の存続期間の延長申請は 1 回に限る。
前項の延長を許可する期間は、中央目的事業主務官庁から許可証を取得するための発明を実施できない期間を超えてはならない。許可証を取得するための期間が 5 年を超える場合も、その延長期間は 5 年までとする。
第 1 項に言う医薬品は、動物用薬品に及ばない。
第 1 項の申請は、1 回目の許可証取得後 3 ヶ月以内に、申請書に証明書類を添付し、特許主務官庁に提出しなければならない。ただし、特許権の存続期間が満了前 6 ヶ月以内に、これを行ってはならない。
主務官庁は、期間延長に関する審査、決定について、国民の健康への影響を考慮し、中央目的事業主務官庁と共同で審査及び決定の方法を定めなければならない。
 
第 54 条
前条の規定により、特許権の存続期間の延長を申請するものについて、特許主務官庁が本来の特許権存続期間の満了時に、なおも査定していない場合、その期間延長が許可されたものと見なす。ただし、審査の結果、延長が拒絶された場合、その特許権の存続期間は、本来の特許権存続期間が満了した日までとする。
 
第 55 条
特許主務官庁は、発明特許権存続期間の延長申請について、特許審査官を指定して、これを審査させ、査定書を作成して特許権者に送達しなければならない。
 
第 56 条
存続期間の延長が特許主務官庁に許可された発明特許権の範囲は、許可証に記載される有効成分及び限定される用途にのみ及ぶ。
 
第 57 条
何人も、延長が許可された特許権存続期間が、次の各号のいずれかに該当すると認める場合、証拠を添付して、特許主務官庁に無効審判を請求することができる。
  1. 特許の実施について許可証を取得する必要がない場合
  2. 特許権者又は実施権者が許可証を取得していない場合
  3. 延長を許可された期間が実施することができなかった期間を超えている場合
  4. 特許権存続期間の延長を申請した者が特許権者でない場合
  5. 延長を申請する許可証が 1 回目の許可証ではない場合、又は当該許可証が既に延長申請に使用されたことがある場合
  6. 特許権の存続期間の延長が許可された医薬品が動物用薬品である場合
特許権の延長が無効審判によって無効にすべき旨の審決が確定した場合、その延長を許可された期間は、最初から存在しなかったものとみなす。ただし、前項第 3 号の規定の違反に対する無効審判について無効にすべき旨の決定が確定した場合、当該超過期間については延長されなかったものとみなす。
 
第 58 条
発明の特許権者は、本法で別段の規定がある場合を除き、他人がその同意を得ずに、当該発明を実施することを排除する権利を専有する。
物の発明の実施とは、当該物を製造、販売の申し出、販売、使用をする行為、又はこれらを目的として輸入する行為を言う。
方法の発明の実施とは、次の各号に掲げる行為を言う。
1.当該方法を使用する行為
2.当該方法により直接に製造した物を使用、販売の申し出、販売をする行為、又はこれらを目的として輸入する行為。
発明特許権の範囲は、特許請求の範囲を基準とし、特許請求の範囲の解釈時には、明細書及び図面を参酌することができる。要約は、特許請求の範囲の解釈に使用されることができない。
 
第 59 条
発明特許権の効力は、次の各号の事項には及ばない。
1.商業目的ではない未公開行為
2.研究又は実験を目的とする、発明を実施するに必要な行為。
3.出願前、既に台湾内で実施されていたもの、又はその必要な準備を既に完了していたもの。ただし、特許出願権者からその発明を知ってから 12 ヶ月未満で、かつ特許出願権者がその特許権を留保する旨の表明をした場合は、この限りでない。
4.単に国境を通過するにすぎない交通手段又はその装置。
5.特許出願権者ではない者が受けた特許権が、特許権者による無効審判請求のために無効になった場合、その実施権者が無効審判請求前に善意により台湾内で実施していたもの、又はその必要な準備を既に完了していたもの。
6.特許権者が製造した又は特許権者の同意を得て製造した特許物品が販売された後、当該物品を使用する又は再販売する行為。前記の製造、販売行為は台湾内に限らない。
7.特許権が第 70 条第 1 項第 3 号の規定により消滅してから、特許権者が第 70 条第 2 項に従い特許権の効力を回復させ、かつ、公告が行われるまでに、善意で実施していたもの、又はその必要な準備を既に完了していたもの。
前項第 3 号、第 5 号及び第 7 号の実施者は、その原事業目的の範囲内においてのみ継続して使用することができる。
第 1 項第 5 号の実施権者は、当該特許権が無効審判請求により取り消された後も、依然として実施を継続する場合、特許権者による書面通知を受領した日から、特許権者に合理的な特許権使用料を支払わなければならない。
 
第 60 条
発明特許権の効力は、薬事法に定める薬物検査・検証登記許可又は薬物の海外における発売許可の取得を目的とし、従事する研究、試験及びその必要な行為に及ばない。
 
第 60 条の 1
医薬品の許可証申請者が、新薬医薬品の許可証の所有者がすでに販売許可された新薬の記載済み特許権について、薬事法第 48 条の 9 第 4 号規定により声明した場合、特許権者は通知を受けた後、第 96 条第 1 項規定に基づき、侵害の排除又は防止を請求することができる。
特許権者が薬事法第 48 条の 13 第 1 項で定めた期間内に前項の申請者に対し訴訟を提起していない場合、当該申請者はその申請した医薬品許可証の医薬品が当該特許権を侵害しているか否かについて確認の訴えを提起することができる。
 
第 61 条
2 種類以上の医薬品を混合して製造された医薬品又は方法は、その発明特許権の効力は、医師の処方箋により調剤する行為、及びその調剤する医薬品に及ばない。
 
第 62 条
発明特許権者が、その発明特許権を他人に譲渡し、信託し、実施権を許諾し、又は質権を設定する場合、特許主務官庁に登録しなければ、第三者に対抗することができない。
前項に言う実施権の設定は、専用実施権の設定又は通常実施権の設定とすることができる。
専用実施権者は、実施権の範囲内で、発明特許権者及び第三者による当該発明の実施を排除することができる。
発明特許権者が複数の債権を担保するために、同一特許権について複数の質
権を設定した場合、その順番は登録の前後によりこれを定める。
 
第 63 条
専用実施権者は、その許諾された権利を第三者が実施することを再許諾することができる。ただし、契約に別段の約定があるものは、その約定に従う。
通常実施権者は、発明特許権者又は専用実施権者の同意を得なければ、その付与された権利を第三者が実施することを再許諾することができない。
権利再許諾は、特許主務官庁に登録しなければ、第三者に対抗することができない。
 
第 64 条
発明特許権が共有である場合、共有者が自ら実施する場合を除き、共有者全員の同意を得なければ、他人にこれを譲渡し、信託し、実施を許諾し、質権を設定し、又は放棄してはならない。
 
第 65 条発明特許権の共有者は、その他の共有者の同意を得なければ、その持分を他人に譲渡し、信託し、又は質権を設定することはできない。
発明特許権の共有者がその持分を放棄した場合、その持分はその他の共有者に帰属する。
 
第 66 条
発明特許権者が台湾と外国の間で発生した戦争により損失を受けた場合、1 回に限り、5 年から 10 年までの特許権存続期間の延期を請求することができる。
ただし、交戦国の国民の特許権は、延期を請求することができない。
 
第 67 条
発明特許権者は、次の各号のいずれかの事項についてのみ、特許明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。
1.請求項の削除
2.特許請求の範囲の減縮
3.誤記又は誤訳の訂正
4.明瞭でない記載の釈明
訂正は、誤訳の訂正のほか、出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されている範囲を超えてはならない。
第 25 条第 3 項の規定により、外国語書面で明細書、特許請求の範囲及び図面を提出した場合、その誤訳の訂正は、出願時の外国語書面により開示されている範囲を超えてはならない。
訂正は、公告時の特許請求の範囲を実質的に拡大又は変更してはならない。
 
第 68 条
特許主務官庁は、訂正請求の審査について、第 77 条の規定によるほか、特許審査官を指定して、これを審査させ、かつ、査定書を作成して出願者に送達しなければならない。
特許主務官庁は、訂正を許可した後、その事由を公告しなければならない。
明細書、特許請求の範囲及び図面が訂正を経て公告された場合、出願日に遡って発効する。
 
第 69 条
発明特許権者は、実施権者又は質権者の同意を得なければ、特許権の放棄、又は第 67 条第 1 項第 1 号又は第 2 号の事項について訂正を請求することはできない。
発明特許権が共有である場合、全ての共有者の同意を得なければ、第 67 条第 1 項第 1 号又は第 2 号の事項について訂正を請求することはできない。
 
第 70 条
次の各号のいずれかに該当する場合、発明特許権は当然消滅する。
1.特許権の存続期間が満了したとき、期間満了後から消滅する。
2.特許権者が死亡し、相続人がいない。
3.二年目以降の特許料が追納期間満了までに納付されなかった場合、当該特許権は、本来の納付期間満了後から消滅する。
4. 特許権者が自ら特許権を放棄した場合、その書面に示された日から特許権は消滅する。
第94条第1項に定める期限内に追納しなかったことが特許権者の故意によるものでない場合、期間満了後一年以内に、特許権の回復を請求することができ、かつ、3 倍の特許料の納付後に、特許主務官庁がこれを公告する。
 
第 71 条
特許権に次のいずれかの事情がある場合、何人も特許主務官庁に無効審判を請求することができる。
  1. 第 21 条から第 24 条、第 26 条、第 31 条、第 32 条第 1 項、第 3 項、第 34 条第 4 項、第 6 項前段、第 43 条第 2 項、第 44 条第 2 項、第 3 項、第 67 条第 2 項から第 4 項又は第 108 条第 3 項の規定に違反する場合
  2. 特許権者の属する国が台湾人民の特許出願を受理しない場合
  3. 第 12 条第 1 項の規定に違反する場合、又は特許権者が特許出願権者ではない場合
利害関係者であってはじめて、前項第 3 号の事情をもって無効審判を請求することができる。
特許権が無効審判を請求できることについては、特許査定時の規定に従う。ただし、第 34 条第 4 項、第 6 項前段、第 43 条第 2 項、第 67 条第 2 項、第 4 項又は第 108 条第 3 項に規定する事情に対する違反をもって、無効審判を請求する場合は、無効審判請求時の規定に従う。
 
第 72 条
利害関係者は、特許権の取消により回復できる法律上の利益がある場合、特許権の当然消滅後も、無効審判を請求することができる。
 
第 73 条
無効審判請求には、無効審判請求の声明、理由を明記した請求書を備え、かつ、証拠を添付しなければならない。
特許権に 2 以上の請求項がある場合は、一部の請求項について無効審判を請求することができる。
無効審判請求の声明は、提起後、変更又は追加することはできない。
但し、縮減はこの限りではない。
無効審判請求人による無効審判理由又は証拠の補充提出は無効審判請求後 3 ヶ月以内にこれを行わなければならない。期限を過ぎて提出した場合、参酌しない。
 
第 74 条
特許主務官庁は、前条に言う請求書を受理した後、その副本を特許権者に送達しなければならない。
特許権者は副本到達後 1 ヶ月以内に答弁しなければならない。予め理由を説明して延期が許可された場合を除き、期限を過ぎても答弁しない場合は、直ちに審理する。
無効審判請求の審理期間において、特許権者は答弁、補充答弁又は応答期間内のみ訂正請求することができる。ただし、特許権が訴訟事件に係属中の場合、これに限らない。
特許主務官庁が必要と認めた時、無効審判請求人に意見陳述、又は特許権者に補充答弁を通知し、無効審判請求人又は特許権者は通知送達後 1 ヶ月以内にこれを行わなければならない。期日延期が認められた場合を除き、期限を過ぎて提出した場合には、参酌されない。
 
前項の規定により提出された意見陳述又は補充答弁により審査の遅延をもたらすおそれがある場合、又はその事実証拠が既に明確である場合、特許主務官庁は補充答弁又は意見陳述の通知をすることなく直ちに審理することができる。
 
第 75 条
特許主務官庁は、無効審判請求を審理するとき、無効審判請求の声明の範囲において、職権により、無効審判請求者が提出していない理由及び証拠を参酌することができ、かつ、期限を指定して、特許権者に答弁するよう通知しなければならず、期限が過ぎても答弁しなかった場合は、直ちに審理する。
 
第 76 条
特許主務官庁は、無効審判を審理する際、請求により又は職権で、期限を指定して、特許権者に次の各号の事項を行うよう通知することができる。
  1. 特許主務官庁に出頭し面談すること
  2. 必要な実験を行う、又は模型若しくは見本を補充提出すること
前項第 2 号の実験、模型又は見本の補充提出について、特許主務官庁は、必要
であると認めた場合、現場又は指定した場所で実地検証することができる。
 
第 77 条
無効審判請求案件の審理期間において、訂正案がある場合、両者を併合審理及び併合審決しなければならない。
前項の訂正案について特許主務官庁が審査を経て訂正を許可すべきであると認めた場合、特許主務官庁は、訂正後の明細書、特許請求の範囲又は図面の副本を無効審判請求者に送達しなければならない。ただし、請求項の削除のみの訂正はこれに限らない。
同一の無効審判請求案の審理期間において、2 以上の訂正案がある場合、先に請求した訂正案は取り下げられたものと見なす。
 
第 78 条
同一の特許権に複数の無効審判が請求されたものにつき、特許主務官庁が必要であると認めた場合、併合してこれを審理することができる。
前項規定により併合審理された無効審判請求案は、併合して審決することができる。
 
第 79 条
特許主務官庁は、無効審判請求案を審理するとき、特許審査官を指定して審理させ、かつ審決書を作成させて、これを特許権者及び無効審判請求者に送達しなければならない。
無効審判請求の審決は、請求項ごとにこれを行わなければならない。
 
第 80 条
無効審判請求人は、審決前に無効審判の請求を取り下げることができる。ただし、特許権者が答弁書を既に提出した場合は、特許権者の同意を得なければならない。
特許主務官庁は、無効審判の請求が取り下げられた事実を特許権者に通知しなければならない。特許権者が通知送達後 10 日以内に反対の意思を表明しなかった場合は、取り下げに同意したと見なされる。
 
第 81 条
次のいずれかの事情がある場合、何人も、同一の特許権につき、同一の事実に対して同一の証拠をもって無効審判を再請求することはできない。
1.ほかの無効審判請求案が同一の事実について同一の証拠をもって無効審判を請求し、かつ、審理の結果、不成立となった場合。
2.知的財産案件審理法第 33 条の規定により、智慧財産法院に提出した新たな証拠が審理された結果、理由がないと認められた場合。
 
第 82 条
発明特許権が無効審判を請求され、かつ審理された結果、成立した場合は、その特許権は取り消さなければならない。その取消しは、請求項ごとに、それぞれ行なわれることができる。
発明特許権が取り消された後、次のいずれかに該当する場合は、その取消が確定したものとする。
1.法により行政救済を提起しなかった場合。
2.行政救済を提起したものの、却下が確定した場合。
発明特許権が取り消された場合、その特許権の効力は最初から存在しなかったものとみなす。
 
第 83 条
第 57 条第 1 項の発明特許権存続期間延長の無効審判に関する処理は、本法の発明特許権の無効審判に関する規定を準用する。
 
第 84 条
発明特許権の付与、変更、存続期間の延長及び延期、譲渡、信託、実施許諾、強制実施許諾、取消し、消滅、質権設定、無効審判審決及びその他の公告すべき事項は、特許公報にてこれを公告しなければならない。
 
第 85 条
特許主務官庁は特許権原簿を備え置き、それに付与された特許、特許権の変更及び法令に定める全ての事項を記載しなければならない。
前項の特許権原簿は、電子方式で作成することができ、国民の、閲覧、抄録、撮影又はコピーに供さなければならない。
 
第 86 条
特許主務官庁は、本法により公開、公告を行うべき事項について、電子方式でこれを行うことができる。その実施日は、特許主務官庁がこれを定める。
 
第五節 強制実施許諾
 
第 87 条
国家の緊急危難又はその他の重大な緊急事態に対応するため、特許主務官庁は、緊急命令又は中央目的事業主務官庁の通知に従い、必要な特許権を強制的に実施許諾し、かつ、迅速に特許権者に通知しなければならない。
次の各号のいずれかに該当し、強制的に実施許諾する必要がある場合、特許主務官庁は申請により、強制的に実施許諾することができる。
1.公益を増進するための非営利目的の実施。
2.発明又は実用新案の実施が、それ以前の発明又は実用新案に対する侵害をどうしても避けられず、かつ、それ以前の発明特許権又は実用新案権と比べて経済的意義を有する重要な技術上の改良である場合。
3.特許権者が競争制限又は不正競争の事情を有し、法院による判決又は公平交易委員会による処分を受けている場合。
半導体技術の特許について、強制実施許諾を申請するものは、前項第 1 号又は第 3 号に規定する事情に該当するものに限る。
第 2 項第 1 号及び第 2 号に規定する強制実施許諾を申請された特許権については、申請者が合理的な商業条件を提示したにもかかわらず、相当の期間内に実施許諾について協議が成立しなかったものに限る。
第 2 項第 2 号の規定により強制実施許諾を申請された特許権について、その特許権者は、合理的な条件を提出して、申請者の特許権について強制実施許諾を請求することができる。
 
第 88 条
特許主務官庁は、前条第 2 項及び第 90 条の強制実施許諾の請求を受理した後、特許権者に通知し、かつ期間を指定して答弁させなければならない。期間が満了しても答弁しなかった場合には、直ちにこれを審理することができる。
強制実施許諾は、台湾市場の需要のために行うことを旨としなければならない。ただし、前条第 2 項第 3 号の規定に従い強制的に実施許諾した場合は、この限りではない。
強制実施許諾の裁定は、書面をもってこれを行わなければならず、かつ、その
実施許諾の理由、範囲、期間及び支払うべき保証金を明記しなければならない。
強制実施許諾は、原特許権者の特許権の実施を妨げない。
強制実施許諾は、譲渡、信託、承継、授権、又は質権の設定をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りではない。
1.前条第 2 項第 1 号又は第 3 号の規定による強制実施許諾が、当該特許の実施に関する営業と共に譲渡、信託、承継、授権、又は質権の設定を行う場合。
2.前条第 2 項第 2 号又は第 5 項の規定により強制的に実施許諾したものが、実施権者の特許権とともに譲渡、信託、承継、授権、又は質権の設定を行う場合。
 
第 89 条
第 87 条第 1 項の規定により強制的に実施許諾したものは、中央目的事業主務官庁が強制的に実施許諾する必要がないと認めたとき、特許主務官庁はその通知により強制実施許諾を廃止しなければない。
次の各号のいずれかに該当する場合、特許主務官庁は、請求により強制実施許諾を廃止することができる。
1.強制実施許諾の根拠となった事実が変更したことにより、強制実施許諾の必要がなくなった場合。
2.実施権者が実施許諾の内容に従わず、適切にこれを実施しなかった場合。
3.実施権者が特許主務官庁の裁定に従わず補償金を支払わなかった場合。
 
第 90 条
製薬能力のない国又は製薬能力が不足している国のエイズ、結核、マラリア又はその他の伝染病の治療に必要な薬品の取得に協力するために、特許主務官庁は、請求により、強制的に申請者の特許権実施を許諾することができ、当該国が必要とする医薬品の輸入のために供給する。
前項規定による強制実施許諾の請求は、請求者が合理的商業条件を提示したにもかかわらず、相当期間内に実施許諾について協議が成立しなかった場合に限る。ただし、必要とする医薬品が輸入国において既に強制実施許諾を受けたものは、この限りではない。
輸入国が WTO の加盟国であり、申請者が第 1 項により請求する場合、輸入国が既に次の事項を履行している証明書類を添付しなければならない。
1.当該国が必要とする医薬品の名称及び数量を TRIPS 理事会(Council for
Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights,理事会知的所有権の貿易関連の側面に関する理事会)に対し既に通知を行ったことを証明する書類。
2.当該国自国に製薬能力がなく、又は製薬能力が不足しており、輸入国となる意向があることを TRIPS 理事会に対し既に通知したことを証明する書類。ただし、後発開発途上国(Least Developed Countries)である場合、申請者は証明書類を添付する必要がない。
3.必要とする医薬品が当該国において特許権がなく、又は特許権があるものの、強制実施許諾が既に許可されている、又は許可される予定であることを証明する書類。
前項に言う「後発開発途上国」とは、国連が公表した後発開発途上国を指す。
輸入国が WTO 加盟国ではなく、後発開発途上国、又は製薬能力のない国若しくは製薬能力の不足する国であり、申請者が第 1 項に従い請求するとき、輸入国が既に次の事項を履行したことを証明する書類を添付しなければならない。
1.台湾の外交機関に対し、書面をもって、必要とする医薬品の名称及び数量を提出したことを証明する書類。
2.必要とする医薬品の再輸出の防止に同意したことを証明する書類。
 
第 91 条
前条規定により強制実施許諾のもとで製造された医薬品は、そのすべてを輸入国へ輸出しなければならず、かつ、実施許諾による製造の数量は輸入国が TRIPS 理事会又は台湾の外交機関に通知した必要とする医薬品の数量を超えてはならない。
前条規定により強制実施許諾のもとで製造された医薬品は、特許主務官庁指定の内容により、その外装及び内装にその実施許諾の依拠を標示しなければならない。その包装及び色又は形状は、特許権者又はその実施権者により製造される医薬品と区別するに足るものでなければならない。
強制実施許諾を受ける実施権者は、特許権者に適切な補償金を支払わなければならない。補償金の額は、必要とする医薬品に関する医薬品の特許権の輸入国における経済価値、及び国連が公表した人間開発指数 (HDI:Human
Development Index)を参考として、特許主務官庁がこれを裁定する。
強制実施許諾を受ける実施権者は、当該医薬品を輸出する前に、ウェブサイトにおいて当該医薬品の数量、名称、目的地及び区別できる特徴を公開しなければならない。
前条規定により強制実施許諾を受けて製造し輸出する医薬品につき、その検
査、登記は、薬事法第 40 条の 2 第 2 項の規定の制限を受けない。
 
第六節 料金の納付
 
第 92 条
発明特許に関する各種申請について、申請人は申請時に、申請手数料を納付しなければならない。特許を受けた場合、発明特許権者は、証書料及び特許料を納付しなければならない。特許権存続期間の延長、更新が許可された場合、延長又は更新が許可された期間においても、特許料を納付しなければならない。
 
第 93 条
発明特許料は公告の日から起算する。1 年目の特許料は、第 52 条第 1 項の規定により納付し、2 年目以降の特許料は、それぞれの期間が満了する前に納付しなければならない。
前項の特許料は、数年分を一括して納付することができる。一括払い後、特許
料の改定があった場合にも、その差額を追納する必要はない。
 
第 94 条
発明特許の 2 年目以降の特許料を、特許料を納付すべき期間内に納付しなかった場合、期間満了後の 6 ヶ月以内にこれを追納することができる。ただし、その特許料の納付は、本来納付すべき特許料のほか、比率により割増の特許料を追納しなければならない。
前項に言う割増方式の特許料の追納とは、特許料の納付期間を過ぎた期間により、月ごとに割増追納することを指す。1ヶ月過ぎたことにつき、20%の割増料を追納し、割増の上限は規定特許料の倍額とする。過ぎた期間が 1 日以上 1 ヶ月以内のものは一ヶ月と見なされる。
 
第 95 条
発明特許権者が自然人、学校又は中小企業である場合、特許主務官庁に特許料の減免を申請することができる。
 
第七節 損害賠償及び訴訟
 
第 96 条
発明特許権者は、自己の特許権を侵害する者に対し、その排除を請求することができる。侵害のおそれがある場合、その防止を請求することができる。
発明特許権者は、故意又は過失によりその特許権を侵害した者に対し、損害賠償を請求することができる。
発明特許権者が第 1 項の請求を行うとき、特許権侵害に係る物又は侵害行為に用いた原料又は設備について、廃棄処分又はその他の必要とする処置を請求することができる。
専用実施権者は、許諾された範囲内において、前 3 項の請求をすることができる。ただし、契約に別段の約定がある場合には、その約定に従う。
発明者は、その氏名表示権が侵害された場合、発明者の氏名表示又はその他名誉回復のために必要な処分を請求することができる。
第 2 項及び前項に規定する請求権は、請求権者が当該損害及び賠償義務者の存在を知った時点から 2 年以内に行使しなければ消滅する。当該侵害行為があった時点から 10 年を超えた場合も同様とする。
 
第 97 条
前条により損害賠償を請求する際は、次の各号のいずれかの方法によりその損害額を算定することができる。
1.民法第 216 条の規定による。ただし、その損害を証明するための証拠や方法を提供することができない場合、発明特許権者は、その特許権の実施により通常得られる利益から、損害を受けた後に同一の特許権の実施により得られる利益を差し引いた金額をその損害額とすることができる。
2.侵害者が侵害行為により得た利益による。
3.当該発明特許の許諾実施により得られる合理的な実施料をその損害額計算の基礎とする。
 前項の規定に基づき、侵害行為が故意である場合、法院は被害者の請求により、侵害情況を斟酌して損害額以上の賠償金を算定することができる。ただし、証明済みの損害額の 3 倍を超えてはならない。
 
第 97 条の 1
 特許権者はその特許権を侵害するおそれがある輸入物品に対し、税関に事前に差押えを申請することができる。
 前項の申請は、侵害の事実を説明した書面をもって行い、税関の見積もりによる該輸入物品の課税価格の保証金又はそれに相当する担保を提供しなければならない。
 税関は差押え申請を受理したら直ちに申請人に通知しなければならない。前項の規定に符合し、差押えを実施する場合、書面にて申請人及び被差押え人に通知しなければならない。
 被差押え人は第 2 項の保証金の 2 倍の保証金(保釈金)又はそれに相当する担保を提供して、税関に差押えの取消の請求、及び輸入貨物の通関規定による処理を請求することができる。
 税関は差押え物品の機密情報の保護を損なわない状況の下、申請人または被差押え人の申請により、その差押え物品の検査に同意することができる。
 差押え物品について、申請人が裁判所からの確定判決を取得し専利権の侵害に属するとされた場合、被差押え人は差押え物品のコンテナ延滞料、倉庫管理費用、積卸費用などの関連費用を負担しなければならない。
 
第 97 条の 2
下記の一つに該当する場合、税関は差押えを取消さなければならない。
1.税関からの差押え通知の翌日から起算して 12 日以内に、申請人が第 96 条の規定により、差押え物品が侵害物であるとして訴訟を提起せず、並びに税関に通知しなかった場合。
2.差押え物品が侵害物であるとして申請人が提起した訴訟が裁判所により棄却されたことが確定した場合。
3.差押え物品が裁判所の判決により、専利権侵害物品に属しないと確定された場合。
4.申請人が差押えの取消を申請した場合。
5.前条第 4 項の規定に符合する場合。
前項第 1 号の規定の期限について、税関は必要に応じて 12 日延長することができる。
税関は第 1 項の規定により差押えが取消された場合、輸入貨物に関する通関規定により処理しなければならない。
第 1 項第 1 号から第 4 号の事由により差押えが取消された場合、申請人は差押え物品のコンテナ延滞料、倉庫管理費用、積卸費用などの関連費用を負担しなければならない。
 
第 97 条の 3
差押え物品が裁判所の判決により専利権侵害物に属しないと確定された場合、申請人は被差押人に対し、差押え又は第 97 条の 1 第 4 項に規定されている保証金(保釈金)による損害を賠償しなければならない。
 申請人は第 97 条の 1 第 4 項に規定されている保証金について、被差押え人は第 97 条の 1 第 2 項に規定されている保証金について、質権者と同一の権利を有する。但し、前条第 4 項及び第 97 条の 1 第 6 項に規定されているコンテナ延滞料、倉庫管理費用、積卸費用などに関する費用については、申請人又は被差押人の損害に優先して賠償を受ける。
 
 下記の一つに該当する場合、税関は申請人の申請により、第 97 条の 1 第 2 項の規定の保証金を返還しなければならない。
1.申請人が勝訴の確定判決を取得した又は被差押人と和解し、保証金の提供を継続する必要がなくなった場合。
2.前条第 1 項第 1 号から第 4 号の規定の事由により差押えが取消され、被差押人が損害を被るに至った後、又は被差押人が勝訴の確定判決を取得した後、申請人が被差押人に 20 日以上の期間を定めて権利行使を催促しても行使しなかったことを証明した場合。
3.被差押人が返還に同意した場合。
 
下記の一つに該当する場合、税関は被差押人の申請により、第 97 条の 1 第 4 項に規定されている保証金を返還しなければならない。
1.前条第 1 項第 1 号から第 4 号の規定の事由により差押えが取消された、又は
被差押人と申請人が和解し、保証金の提供を継続する必要がなくなった場合。
2.申請人が勝訴の確定判決を取得した後、被差押人が申請人に 20 日以上の期間を定めて権利行使を催促しても行使しなかったことを証明した場合。
3.申請人が返還に同意した場合。
 
第 97 条の 4
前 3 条に規定された差押えの申請、差押えの取消、差押え物品の検査、保証金又は担保の納付、提供、返還の手続き、必要書類及びその他の遵守事項については、主務官庁が財政部とこれを定める。
 
第 98 条
特許に係る物には、特許証番号を表示しなければならない。特許に係る物にこれを標示できない場合は、ラベル、包装、又はその他の他人に認識させるに足る顕著な方法をもって、これを標示することができる。特許証番号を表示しなかった場合、損害賠償を請求するときには、当該物品が特許に係るものであることを侵害者が明らかに知っていたこと、又はそれを知り得たことを立証し、証明しなければならない。
 
第 99 条
製造方法の特許により製造された物が、その製造方法の特許出願前に台湾内外に見られなかった場合、他人が製造した同一の物は、その方法特許により製造されたものと推定する。
前項の推定は、反証を提出してこれを覆すことができる。被告が、当該同一の物品を製造した方法と製造方法特許とが異なることを証明したときは、反証を提出したものとみなす。被告が立証時に開示した製造上及び営業上の秘密の合法的権益は、十分に保障されなければならない。
 
第 100 条
発明特許に係る訴訟事件について、法院は、判決書の正本を一部、特許主務官庁に送達しなければならない。
 
第 101 条
無効審判が権利侵害訴訟の審理に関連する場合、特許主務官庁は、優先的にこれを審理することができる。
 
第 102 条
認可を得ていない外国法人又は団体は、本法が規定する事項について、民事訴訟を提起することができる。
 
第 103 条
法院は、発明特許訴訟事件を審理する専門法廷を設け、又は専門の担当者を指定して審理させることができる。
司法院は、特許侵害鑑定の専門機関を指定することができる。
法院は、発明特許訴訟を受理し、前項の機関に委託して鑑定させることができる。
 
第三章 実用新案
 
第 104 条
実用新案とは、自然法則を利用した技術的思想のうち、物品の形状、構造又は組合せに係る創作を指す。
 
第 105 条
実用新案が、公序良俗を害する場合には、実用新案登録を付与しない。
 
第 106 条
実用新案登録の出願は、特許出願権者が願書、明細書、実用新案登録請求の範囲、要約及び必要な図面を備えて、特許主務官庁にこれを提出する。
実用新案登録の出願は、願書、明細書、実用新案登録請求の範囲及び図面が全て揃った日を出願日とする。
出願時に、明細書、実用新案登録請求の範囲及び図面の中国語による翻訳文を提出せず、外国語で提出し、かつ、特許主務官庁が指定する期間内に中国語による翻訳文が補正された場合、当該外国語書面が提出された日を出願日とする。前項の指定期間内に中国語による翻訳文を補正しなかった場合、出願を受理しない。ただし、処分前に補正した場合は、補正した日を出願日とし、当該外国語書面は提出されなかったと見なす。
 
第 107 条
実用新案登録を出願した実用新案が、実質上2以上の実用新案である場合、
特許主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。
分割出願は、下記の各号の期間内に行うものとする:
  1. 原出願の査定前。
  2. 原出願の登録処分書の送達後3ヶ月以内。
 
第 108 条
発明特許又は意匠登録を出願した後、これを実用新案の出願に変更する場合、又は実用新案登録を出願した後、これを発明特許の出願に変更する場合は、原出願の出願日をその変更後の出願の出願日とする。
出願の変更の申請は、次の各号のいずれかに該当する場合、これを行ってはならない。
1.原出願の権利を付与する査定書、処分書が送達された後
2.原出願が発明出願又は意匠出願であり、拒絶査定書が送達された日から 2 ヶ月を経過した後
3.原出願が実用新案出願であり、拒絶査定書が送達された日から 30 日を経過した後
出願の変更後の出願は、原出願の出願時の明細書、請求範囲又は図面が開示した範囲を超えてはならない。
 
第 109 条
特許主務官庁が実用新案登録の方式審査を行う際は、請求又は職権により、期限を指定して、出願人に明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面を補正するよう通知することができる。
 
第 110 条
第 106 条第 3 項規定により、外国語書面で明細書、実用新案登録請求の範囲及び図面を提出した場合、その外国語書面は補正してはならない。
第 106 条第 3 項規定により補正した中国語による翻訳文は、出願の際の外国語書面が開示した範囲を超えてはならない。
 
第 111 条
実用新案登録出願案について、方式審査を行った後、処分書を作成し、出願人に送達しなければならない。
方式審査の結果、拒絶査定を行うものについて、処分書は理由を明記しなければならない。
 
第 112 条
実用新案登録出願案について、方式審査の結果、次の各号のいずれかの事情を有すると認める場合、拒絶査定を下さなければならない。
1.実用新案が物品の形状、構造又は組合せに属さない場合。
2.第 105 条の規定に違反する場合。
3.第 120 条が準用する第 26 条第 4 項に規定する開示方式に違反する場合。
4.第 120 条が準用する第 33 条の規定に違反する場合。
5.明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に必要事項が開示されていない場合、又は明らかにその開示内容が明確でない場合。
6.明らかに、補正が出願時の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に開示された範囲を超えた場合。
 
第 113 条
実用新案登録を出願した実用新案について、方式審査の結果、拒絶査定すべき事情がないと認める場合、登録を許可し、実用新案登録請求の範囲及び図面を公告しなければならない。
 
第 114 条   
実用新案権の存続期間は、出願日から起算して 10 年をもって満了とする。
 
第 115 条
実用新案登録出願に係る実用新案の公告後、何人も、特許主務官庁に対し、当該実用新案の実用新案技術報告を請求することができる。
特許主務官庁は、実用新案技術報告請求の事実を、特許公報に掲載しなければならない。
特許主務官庁は、特許審査官を指定して実用新案技術報告を作成させなければならず、当該特許審査官は当該報告に記名しなければならない。
特許主務官庁は、第 1 項の請求に対し、第 120 条が準用する第 22 条第 1 項第 1 号、第 2 項、第 120 条が準用する第 23 条、第 120 条が準用する第 31 条に規定する事情について、実用新案技術報告を作成しなければならない。
第 1 項規定による実用新案技術報告の請求について、商業上の実施を行っている特許権者でない者がいるということを明記し、かつ、関連証明文書を添付している場合、特許主務官庁は 6 ヶ月以内に、実用新案技術報告を完成しなければならない。
実用新案技術報告の請求は、実用新案権の当然消滅後にも、これを行うことができる。
第 1 項の規定により行った請求は、取り下げることができない。
 
第 116 条
実用新案権者が実用新案権を行使する際には、実用新案技術報告を提示しなければ警告できない。
 
第 117 条
実用新案権者の実用新案権が取り消される場合、それが取り消される前に、権利行使により他人に与えた損害について、賠償責任を負わなければならない。ただし、それが実用新案技術報告の内容に基づいたもので、かつ、可能な限りの注意を払った場合は、この限りではない。
 
第 118 条
実用新案権者は、第 120 条が準用する第 74 条第 3 項に規定された事情のほか、下記の期間においてのみ訂正請求することができる:
  1. 実用新案権について実用新案技術報告書を請求している。
  2. 実用新案権が訴訟事件と係属中である。
 
第 119 条  
実用新案権に、次の各号のいずれかの事情があった場合、何人も特許主務官庁に対し無効審判を請求することができる。
  1. 第 104 条、第 105 条、第 108 条第 3 項、第 110 条第 2 項、第 120 条が準用する第 22 条、第 120 条が準用する第 23 条、第 120 条が準用する第 26 条、第 120 条が準用する第 31 条、第 120 条が準用する第 34 条第 4 項・第 6 項前段、第 120 条が準用する第 43 条第 2 項、第 120 条が準用する第 44 条第 3 項、第 120 条が準用する第 67 条第 2 項から第 4 項の規定に違反する場合。
  2. 特許権者が属する国が台湾人民の特許出願を受理しない場合。
  3. 第 12 条第 1 項の規定に違反する場合、又は実用新案権者が実用新案登録出願権者でない場合。
利害関係者であってはじめて、前項第 3 号に規定する事情を有することを理由に、無効審判を請求することができる。
実用新案権について、無効審判を請求することができる事情は、登録査定された時点の規定に従う。ただし、第 108 条第 3 項、第 120 条が準用する第 34 条第 4 項・第 6 項前段、第 120 条が準用する第 43 条第 2 項又は第 120 条が準用する第 67 条第 2 項、第 4 項に規定する事情に違反することを理由に無効審判を請求するものは、無効審判を請求する時点の規定に従う。無効審判審決書には、特許審査官が記名しなければならない。
 
第 120 条
実用新案においては、第 22 条、第 23 条、第 26 条、第 28 条から第 31 条、第 33 条、第 34 条第 3 項から第 7 項、第 35 条、第 43 条第 2 項、第 3 項、第 44
条第 3 項、第 46 条第 2 項、第 47 条第 2 項、第 51 条、第 52 条第 1 項、第 2 項、第 4 項、第 58 条第 1 項、第 2 項、第 4 項、第 5 項、第 59 条、第 62 条から第 65 条、第 67 条、第 68 条、第 69 条、第 70 条、第 72 条から第 82 条、第 84 条から第 98 条、第 100 条から第 103 条を準用する。
 
第四章 意匠
 
第 121 条
意匠とは、物品の全部又は一部の形状、模様、色彩又はこれらの結合であって、視覚に訴える創作を指す。
物品に応用するコンピューター作成アイコン(computer-generated icons , icons)(以下、「アイコン」という。)及びグラフィカルユーザインターフェース(以下、「GUI」という。)も、本法により出願し、意匠登録を受けることができる。
 
第 122 条
産業上利用することのできる意匠で、次の各号のいずれかに該当しなければ、本法により出願し、意匠登録を受けることができる。
1.出願前に既に同一又は類似の意匠が刊行物に記載された場合。
2.出願前に既に同一又は類似の意匠が公然実施された場合。
3.出願前に既に公然知られた場合。
意匠が、前項各号の事情に該当しなくても、それがその所属する技術分野の通常知識を有する者が出願前の従来技芸に基づいて容易に思いつくものは、意匠登録を受けることができない。出願人の意図によるものまたは出願人の意図に反する公開の事実が生じた日から 6 ヶ月以内に意匠出願をした場合は、当該事実が第 1 項各号又は前項に言う意匠登録を受けることができない事情に該当しない。
出願により台湾または外国において法に基づき公報に公開されたことが出願人の意図によるものである場合、前項の規定を適用しない。
 
第 123 条
意匠登録を出願した意匠が、その出願より先に出願され、かつ、その出願後はじめて公告された意匠登録出願に添付される明細書又は図面に記載された内容と同一又は類似である場合、意匠登録を受けることができない。ただし、当該出願人と先に出願された意匠登録の出願人が同一である場合は、この限りでない。
 
第 124 条
次の各号のいずれかに該当するものは、意匠登録を受けることができない。
  1. 単に機能上不可欠な物品造形
  2. 単なる芸術的創作
  3. 集積回路の回路配置及び電子回路の配置
  4. 公序良俗を害する物品
 
第 125 条
意匠登録の出願は、意匠登録出願人が願書、明細書及び図面を備えて、特許主務官庁にこれを提出するものとする。
意匠登録の出願は、願書、明細書及び図面が全て揃った日を出願日とする。出願時に、明細書及び図面の中国語による翻訳文を提出せず、外国語で提出し、かつ、特許主務官庁が指定する期間内に中国語による翻訳文が補正された場合、当該外国語書面が提出された日を出願日とする。
前項の指定期間内に中国語による翻訳文を補正しなかった場合、その出願を受理しない。ただし、処分前に補正した場合、補正した日を出願日とし、当該外国語書面は提出されなかったと見なす。
 
第 126 条
明細書及び図面は、当該意匠が所属する技芸分野の通常知識を有する者がその内容を理解し、それに基づいて実現することができるよう、明確かつ十分に開示しなくてはならない。
明細書及び図面の開示方式は、本法施行細則で定める。
 
第 127 条
同一人が 2 以上の類似する意匠を有する場合は、意匠及びその関連意匠を出願することができる。
関連意匠の出願日は、原意匠の出願日より前であってはならない。
原意匠登録が公告されてから、関連意匠の出願を行ってはならない。
同一人は、原意匠と類似せず、関連意匠にのみ類似する意匠について、関連意匠登録として出願を行ってはならない。
 
第 128 条
同一又は類似の意匠について、2 以上の意匠登録出願があった場合、その最先の出願人のみが、意匠登録を受けることができる。ただし、後願の出願人が主張する優先日が先願の出願日より早い場合は、この限りではない。
前項の出願日、優先日が同日である場合は、これを協議により定めるよう出願人に通知しなければならない。協議が成立しない場合には、いずれの出願人も意匠登録を受けることができない。その出願人が同一人である場合、期限を指定していずれか 1 つの出願を選択するよう出願人に通知しなければならない。当該期限が過ぎてもいずれか 1 つを選択しない場合は、いずれの出願も意匠登録を受けることができない。
それぞれの出願人が協議する場合、特許主務官庁は相当の期間を指定して当該協議結果を報告するよう出願人に通知しなければならない。当該期限が過ぎても報告がなかった場合には、協議が成立しなかったものとみなす。
次の各号においては、前 3 項の規定を適用しない。
1.原意匠登録出願と関連意匠登録出願との間
2.同一の意匠登録出願に 2 以上の関連意匠登録出願があり、当該 2 以上の関連意匠登録出願の間
 
第 129 条
意匠登録出願は、1 つの意匠ごとに出願を提出しなければならない。
同一の類別に属する 2 以上の物品であって、かつ、慣習上組物全体として販売又は使用されるものは、1 意匠として出願することができる。
意匠登録を出願する際は、その意匠を施す物品を指定しなければならない。
 
第 130 条
意匠登録を出願した意匠が、実質的に 2 以上の意匠である場合、特許主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。分割出願は、原出願の再審査の査定前にこれを行うものとする。分割後の出願は、原出願の既に完了した手続きから審査を続行するものとする。
 
第 131 条
意匠登録を出願した後、これを関連意匠登録の出願に変更する場合、又は関連意匠登録を出願した後、これを意匠登録の出願に変更する場合は、原出願の出願日をその変更後の出願の出願日とする。
出願の変更の申請は、次の各号のいずれかに該当する場合は、これを行ってはならない。
1.原出願の権利を付与すべき旨の査定書が送達された後。
2.原出願の拒絶査定書が送達された日から 2 ヶ月を経過した後。
出願の変更後の意匠又は関連意匠は、原出願の出願時の明細書又は図面が開示した範囲を超えてはならない。
 
第 132 条
発明特許又は実用新案登録を出願した後、これを意匠登録の出願に変更する場合、原出願の出願日をその変更後の出願の出願日とする。
出願の変更の申請は、次の各号のいずれかに該当する場合は、これを行ってはならない。
1.原出願の権利を付与すべき旨の査定書、処分書が送達された後。
2.原出願が特許で、拒絶査定書が送達された日から 2 ヶ月を経過した場合。
3. 原出願が実用新案で、拒絶査定書が送達された日から 30 日を経過した場合。
出願の変更後の出願は、原出願の出願時の明細書、請求の範囲又は図面が開示した範囲を超えてはならない。
第 133 条
第 125 条第 3 項規定により、外国語書面で明細書及び図面を提出した場合、その外国語書面は補正してはならない。
第 125 条第 3 項規定により補正した中国語による翻訳文は、出願の際の外国語書面が開示した範囲を超えてはならない。
 
第 134 条
意匠登録出願が第 121 条から 124 条、第 126 条、第 127 条、第 128 条第 1 項から第 3 項、第 129 条第 1 項、第 2 項、第 131 条第 3 項、第 132 条第 3 項、第 133 条第 2 項、第 142 条第 1 項が準用する第 34 条第 4 項、第 142 条第 1 項が準用する第 43 条第 2 項、第 142 条第 1 項が準用する第 44 条第 3 項の規定に違反する場合は、拒絶査定を下さなければならない。
 
第 135 条
意匠権の存続期間は、出願日から起算して 15 年をもって満了とする。関連意匠権の存続期間は、原意匠権の存続期間と同時に満了するものとする。
 
第 136 条
意匠権者は、本法に別段の規定がある場合を除き、他人がその同意を得ずに当該意匠又は当該意匠と類似する意匠を実施することを排除する権利を専有する。
意匠権の範囲は、図面を基準とし、かつ、明細書を参酌することができる。
 
第 137 条
関連意匠権は、単独で権利を主張することができ、かつ、類似の範囲に及ぶ。
 
第 138 条
関連意匠権は、その原意匠権とともに譲渡し、信託し、継承し、実施許諾し、又は質権を設定しなければならない。
原意匠権が第 142 条第 1 項が準用する第 70 条第 1 項第 3 号又は第 4 号の規定により既に当然消滅し、又は取消しが確定したにもかかわらず、その関連意匠権が依然として 2 以上存続している場合は、当該関連意匠権は単独で譲渡し、信託し、継承し、実施許諾し、又は質権を設定してはならない。
 
第 139 条
意匠権者は、意匠登録を受けた明細書又は図面について、次の事項についてのみ補正を請求することができる。
1.誤記、誤訳の訂正
2.明瞭でない記載の釈明
補正は、誤訳の訂正を除き、出願時の明細書又は図面に開示された範囲を超えてはならない。
第125条第3項の規定により、外国語書面で明細書及び図面を提出した場合、その誤訳の訂正は、出願時の外国語書面により開示されている範囲を超えてはならない。
補正は、公告時の図面を実質的に拡大又は変更してはならない。
 
第 140 条
意匠権者は、ライセンシー又は質権者の同意を得なければ、意匠権を放棄することができない。
 
第 141 条
意匠権に、次の各号のいずれかの事情がある場合、何人も特許主務官庁に対し無効審判を請求することができる。
1.第 121 条から第 125 条、第 126 条、第 127 条、第 128 条第 1 項から第 3 項、第 131 条第 3 項、第 132 条第 3 項、第 133 条第 2 項、第 139 条第 2 項から第 4 項、第 142 条第 1 項が準用する第 34 条第 4 項、第 142 条第 1 項が準用する第 43 条第 2 項、第 142 条第 1 項が準用する第 44 条第 3 項の規定に違反する場合。
2.意匠権者が属する国が台湾人民の意匠出願を受理しない場合。
3.第 12 条第 1 項の規定に違反する場合、又は意匠権者が意匠登録出願人でない場合。
利害関係者であってはじめて、前項第 3 号に規定する事情を有することを理由に、無効審判を請求することができる。
意匠権について、無効審判を請求することができる事情は、登録査定された時点の規定に従う。ただし、第 131 条第 3 項、第 132 条第 3 項、第 139 条第 2 項、第 4 項、第 142 条第 1 項が準用する第 34 条第 4 項又は第 142 条第 1 項が準用する第43条第2項に規定する事情に違反することを理由に無効審判を請求するものは、無効審判を請求する時点の規定に従う。
 
第 142 条
登録意匠においては、第 28 条、第 29 条、第 34 条第 3 項、第 4 項、第 35 条、第 36 条、第 42 条、第 43 条第 1 項から第 3 項、第 44 条第 3 項、第 45 条、第 46 条第 2 項、第 47 条、第 48 条、第 50 条、第 52 条第 1 項、第 2 項、第 4 項、第 58 条第 2 項、第 59 条、第 62 条から第 65 条、第 68 条、第 70 条、第 72 条、第 73 条第 1 項、第 3 項、第 4 項、第 74 条から第 78 条、第 79 条第 1 項、第 80 条から第 82 条、第 84 条から第 86 条、第 92 条から第 98 条、第 100 条から第
103 条の規定を準用する。
第 28 条第 1 項が規定する期間は、意匠登録出願において 6 ヶ月とする。
第 29 条第 2 項及び第 4 項が規定する期間は、意匠登録出願において 10 ヶ月とする。
59 条第 1 項第 3 号の但書が規定する期間は、意匠登録出願においては 6 ヶ月とする。
 
第五章 附則
 
第 143 条
特許ファイル(専利包袋)の出願書類、明細書、登録の請求範囲、要約、図面及び図面説明は、特許主務官庁により保存価値があると認められた場合、永久に保存しなければならない。
前項以外の特許書面包袋は次の規定に従い定期保存しなければならない。:
  1. 特許出願について登録査定となったものは 30 年の保存とし、その他は 20 年保存しなければならない。
  2. 実用新案登録出願について、登録査定処分となったものは 15 年の保存とし、その他は、10 年保存しなければならない。
  3. 意匠登録出願について、登録査定となったものは 20 年保存とし、その他は 15 年保存しなければならない。
前項の特許ファイル(専利包袋)の保存期限は、査定、処分、取下げ又は取下げと見なす日が属する年度の翌年の初日から計算する。
本法の 2019 年 4 月 16 日付けの条文改正施行前の専利包袋の保存年限については、改正後の規定を適用する。
 
第 144 条
主務官庁は、特許、実用新案又は意匠の創作を奨励するために、奨励補助制度を定めることができる。
 
第 145 条
第 25 条第 3 項、第 106 条第 3 項及び第 125 条第 3 項の規定により提出する外国語書面について、その外国語の種類の限定及びその他の明記すべき事項に係る規則は、主務官庁がこれを定める。
 
第 146 条
第 92 条、第 120 条が準用する第 94 条、第 142 条第 1 項が準用する第 92 条に規定する申請手数料、証書料及び特許料について、その費用徴収に関する規則は、主務官庁が定める。
第 95 条、第 120 条が準用する第 95 条、第 142 条第 1 項が準用する第 95 条に規定する特許料の減免について、その減免の条件、期間、金額及びその他遵守すべき事項に関する規則は、主務官庁が定める。
 
第 147 条
1994 年 1 月 23 日より前に提出された出願は、第 53 条の規定により特許存続期間の延長を申請することができない。
 
第 148 条
本法 1994 年 1 月 21 日改正法の施行前(註:1994 年 1 月 23 日前)に公告された特許の特許権存続期間は、改正施行前の規定を適用する。ただし、WTO 協定が台湾内で発効した日に特許権がなお存続している発明特許の特許権存続期間については、改正施行後の規定を適用する。
本法 2003 年 1 月 3 日に改正した条項の施行前(註:2004 年 7 月 1 日前)に公告された実用新案権の存続期間は、改正前の規定を適用する。
WTO 協定が台湾内で発効した日(註:2002 年 1 月 1 日)に権利が依然として存続している意匠権存続期間については、1997 年 5 月 7 日改正した条項の施行後の本法規定を適用する。
 
第 149 条
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に、まだ登録査定されていなかった発明特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願は、本法に別段の規定がある場合を除き、改正施行後の規定を適用する。
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に、まだ審決されていなかった訂正案及び無効審判案は、改正施行後の規定を適用する。
 
第 150 条
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に提出し、かつ改正前の第29条の規定に従い優先権を主張する発明特許出願又は実用新案登録出願について、その先願がまだ公告されておらず、又は権利を付与しない拒絶査定若しくは処分が確定されていないものは、第 30 条第 1 項の規定を適用する。
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に既に登録査定された発明特許出願について、第 34 条第 2 項第 2 号に規定する期間を超えなかったものは、第 34 条第 2 項第 2 号及び第 6 号の規定を適用する。
 
第 151 条
本法における 2011 年年 11 月 29 日に改正した条項の施行後に提出した特許出願は、第 22 条第 3 項第 2 号、第 120 条が準用する第 22 条第 3 項第 2 号、第 121 条第 1 項の物品の一部の創作に関する規定、第 121 条第 2 項、第 122 条第
3 項第 1 号、第 127 条、第 129 条第 2 項の規定を適用する。
 
第 152 条
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に、改正前の第 30 条第 2 項の規定に違反し寄託していないと見なされた発明特許出願につき、改正施行された後において、まだ査定されていない場合、第 27 条第 2 項の規定を適用する。優先権の主張があり、最先の優先日から起算して依然として 16 ヶ月以内のものは、第 27 条第 3 項の規定を適用する。
 
第 153 条
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に、改正前の第 28 条第 3 項、第 108 条において準用する第 28 条第 3 項、第 129 条第 1 項において準用する第 28 条第 3 項の規定により、改正前の第 28 条第 1 項、第 108 条において準用する第 28 条第 1 項、第 129 条第 1 項において準用する第 28 条第 1 項の規定に違反したことで優先権を喪失した特許出願は、改正施行後においても、まだ査定又は処分されておらず、かつ、最先の優先日から起算して、発明特許出願、実用新案出願であれば 16 ヶ月内、意匠出願であれば 10 ヶ月内のものは、第 29 条第 4 項、第 120 条において準用する第 29 条第 4 項、第 142 条第 1 項において準用する第 29 条第 4 項の規定を適用する。
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に、改正前の第 28 条第 3 項、第 108 条において準用する第 28 条第 3 項、第 129 条第 1 項において準用する第 28 条第 3 項の規定により、改正前の第 28 条第 2 項、第 108 条において準用する第 28 条第 2 項、第 129 条第 1 項において準用する第 28 条第 2 項の規定に違反したことで優先権を喪失した特許出願は、改正施行後においても、まだ査定又は処分されておらず、かつ、最先の優先日から起算して、発明特許出願、実用新案出願であれば 16 ヶ月内、意匠出願であれば 10 ヶ月内のものは、第 29 条第 2 項、第 120 条において準用する第 29 条第 2 項、第 142 条第 1 項において準用する第 29 条第 2 項の規定を適用する。
 
第 154 条
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に提出した発明特許存続期間の延長申請が、改正施行後においても査定されておらず、かつ、その発明特許存続期間がまだ満了していない場合、改正施行後の規定を適用する。
 
第 155 条
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項の施行前に、次の各号のいずれかに該当する場合は、第 52 条第 4 項、第 70 条第 2 項、第 120 条において準用する第 52 条第 4 項、第 120 条において準用する第 70 条第 2 項、第 142 条第 1 項において準用する第 52 条第 4 項、第 142 条第 1 項において準用する第 70 条第 2 項の規定を適用しない。
1.改正前の第 51 条第 1 項、第 101 条第 1 項又は第 113 条第 1 項の規定により、既に費用納付期限を過ぎて、権利が最初から存在しなかったとする場合
2.改正前の第 66 条第 3 号、第 108 条において準用する第 66 条第 3 号又は第 129 条第 1 項において準用する第 66 条第 3 項の規定により、本法の改正施行前に、権利が当然消滅した場合。
 
第 156 条
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項が施行されるまでに査定されていない意匠登録出願について、出願人は、改正施行後 3 ヶ月以内に物品の一部意匠登録出願への変更を申請することができる。
 
第 157 条
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項が施行されるまでに査定されていない類似意匠登録出願は、改正前の類似意匠登録に係る規定を適用する。
本法における 2011 年 11 月 29 日に改正した条項が施行されるまでに査定されていない類似意匠登録出願で、かつ、原登録意匠が公告される前に出願されたものについて、出願人は、改正施行後から 3 ヶ月以内に関連意匠登録出願への変更を申請することができる。
 
第 157 条の 1
 2016 年 12 月 30 日に改正された第 22 条、第 59 条、第 122 条、及び第 142 条は、施行後に提出された専利出願に対し適用される。
 
第 157 条の 2
本法の 2019 年 4 月 16 日付けの改正条文施行前に、査定されていない専利出願については、本法で別途規定がある場合を除き、改正施行後の規定を適用する。
本法の 2019 年 4 月 16 日付けの改正条文施行前に、審決されていない訂正請求及び無効審判請求については、改正施行後の規定を適用する。
 
第 157 条の 3
 本法の 2019 年 4 月 16 日付けの改正条文施行前に、すでに査定又は処分された専利出願が第 34 条第 2 項第 2 号、第 107 条第 2 項第 2 号に規定された期間を超えない場合、改正施行後の規定を適用する。
 
第 157 条の 4
 本法の 2019 年 4 月 16 日付けの改正条文施行日に、意匠権が存続している場合、その意匠権存続期間については改正施行後の規定を適用する。
 本法の 2019 年 4 月 16 日付けの改正条文施行前に、第 142 条第 1 項が準用する第 70 条第 1 項第 3 号の規定により意匠権が当然消滅し、改正施行後に同条第 2 項の規定を準用して意匠権の回復を申請した場合、その意匠権存続期間は改正施行後の規定を適用する。
 
第 158 条
本法の施行規則は、主務官庁が定める。
 
第 159 条
本法の施行日は、行政院がこれを定める。